共鳴非弾性X線散乱による銅酸化物高温超伝導秩序と電荷励起の統一的観測
Project/Area Number |
22K13994
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80922947)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 共鳴非弾性X線散乱 / 銅酸化物 / 電荷励起 / 音響プラズモン / 電荷秩序 / 銅酸化物高温超伝導 / 超伝導秩序パラメータ |
Outline of Research at the Start |
銅酸化物における高温超伝導の発見以降、その超伝導発現機構解明のため膨大な研究がなされてきた。超伝導相は反強磁性モット絶縁体相に近接することから、磁気揺らぎ媒介の超伝導機構が最有力候補の一つである。一方近年の共鳴X線散乱の実験から、CuO2面内における電荷密度に周期性が現れること、また3次元的な分散関係を持つ電荷の集団励起モードが存在することが明らかとなった。本研究では高分解能共鳴非弾性X線散乱により超伝導秩序と電荷秩序・集団励起を統一的に観測し、電荷揺らぎの高温超伝導への役割を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は最適ドープ銅酸化物高温超伝導体における電荷秩序・素励起を酸素K吸収端共鳴非弾性X線散乱(RIXS)によって観測することを目的としている。実施計画に添い、最適ドープ3層系銅酸化物Bi2223のRIXS実験をTaiwan Photon Source 41Aにおいて実施した。初年度に行なった運動量移行q=(H,0,L)方向の測定結果を踏まえ、最終年度にはq=(H,H,L)方向のプラズモンの分散関係を決定した。ブリルアンゾーン中心での分散関係にはエネルギーギャップがあり、かつ分散の傾きがq=(H,0,L)方向よりも緩やかであることがわかった。 この観測結果を理論的に理解するため3層のCuO2層が繰り返された構造を持つ理論模型の電荷感受率を乱雑位相近似で計算した。3層の自由度に対応し3本のプラズモンの分散関係が現れるが、1本にはエネルギーギャップがなく、残りの2本にはギャップが存在する。角度分解光電子分光の結果から導かれている面内の電子のホッピング項を用い、3層間の電子ホッピングとクーロン相互作用の強度を調整することで、強度の最も強い2番目の分散関係が実験結果をよく再現することがわかった。一方3層のCuO2面のみを取り出した模型に対してはギャップのある分散関係が得られず、実験との不一致が見られた。これはプラズモンの分散関係に長距離のクーロン相互作用の効果が顕著に現れることを示す。 高温超伝導機構との関連をより系統的に調べるため、銅酸化物で最高の超伝導転移温度を示す水銀系銅酸化物Hg1223に測定対象を拡大した。試料劈開面に不均一性が生じる困難があるものの、同様のプラズモン分散関係の測定に成功した。
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Report
(2 results)
Research Products
(33 results)
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[Journal Article] Distinct spin and orbital dynamics in Sr2RuO42023
Author(s)
H. Suzuki, L. Wang, J. Bertinshaw, H. U. R. Strand, S. Kaser, M. Krautloher, Z. Yang, N. Wentzell, O. Parcollet, F. Jerzembeck, N. Kikugawa, A. P. Mackenzie, A. Georges, P. Hansmann, H. Gretarsson, B. Keimer
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 14
Issue: 1
Pages: 563-567
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Sr2RuO4におけるエネルギー的に分離したスピン・軌道励起の共鳴非弾性X線散乱による観測2024
Author(s)
鈴木博人,L. Wang,J. Bertinshaw,H. U. R. Strand,S. Kaeser,M. Krautloher,Z. Yang,N. Wentzell,O. Parcolle,F. Jerzembeck,菊川直樹,A. P. Mackenzie,A. Georges,P. Hansmann,H. Gretarsson,B. Keimer
Organizer
日本物理学会 2024年春季大会
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[Presentation] 酸素K端共鳴非弾性X線散乱による銅酸化物高温超伝導体Bi2223の電荷秩序・電荷励起の観測2024
Author(s)
中田勝,岡本淳,志賀大亮,高橋龍之介,H. Y. Huang,A. Singh,組頭広志,和達大樹,石田茂之,永崎洋,藤森淳,D. J. Huang,鈴木博人
Organizer
第37回日本放射光学会年会
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Organizer
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Organizer
日本物理学会第78回年次大会
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