Project/Area Number |
22K14085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 裕己 京都大学, 理学研究科, 助教 (90823386)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 火星 / 多点観測 / 電離気体 / 衛星プラズマ相互作用 / 惑星プラズマ / 惑星・衛星環境 |
Outline of Research at the Start |
惑星から宇宙空間への大気散逸は、地球型惑星表層での生命生存可能環境の発生・維持・消失を左右するだけでなく、惑星大気起源の物質を衛星に供給する役割を果たす、惑星衛星系の環境・進化を決定付ける最重要過程の一つである。地球型惑星の中でも火星は特に重要な研究対象であるが、従来の単一探査機による観測では、一点観測の限界により、動的な現象に富む火星電離大気散逸を適切に捉えることができなかった。本研究では、現有のMAVEN・Mars Express同時多点観測データを複合的に解析することで、火星系における電離大気の動態を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
惑星大気の宇宙空間への散逸は、地球型惑星の生命生存可能環境の成立条件を左右するだけでなく、惑星大気起源の物質を衛星に供給する役割を果たす、惑星系の進化を決定付ける最重要過程の一つである。地球型惑星の中でも火星は特に重要な研究対象であるが、従来の単一探査機による観測では、一点観測の限界により、動的な現象に富む火星電離大気散逸を適切に捉えることができなかった。本研究の目的は、複数探査機による同時多点観測データの複合解析を実施することで、火星系における電離大気の動態を解明することにある。2023年度の主な成果は以下の通りである。 ・火星探査機MAVENおよびMars Expressの多点観測データ解析に基づき、バウショック上流で発生する「プロトンサイクロトロン」波動(以下、PCW)が火星電離圏に圧縮性磁気音波を駆動する現象について、発生率の太陽天頂角、高度、地殻磁場強度、太陽風パラメータへの依存性を明らかにした。 ・火星探査機MGSの磁場観測データ解析に基づき、上流PCWが駆動する火星電離圏圧縮性波動の長期変動を明らかにした。 ・MAVENおよびMars Expressの観測データ解析に基づき、太陽高エネルギー粒子イベント時の火星夜側電離圏における電波吸収を定量化し、モデル予測との定性的な整合性およびモデル・観測間の系統的な定数倍の相違を示した。 ・次期火星衛星探査計画MMXを視野に入れ、火星および火星衛星周辺のプラズマ動態調査を発展させた、無大気衛星のプラズマ環境の比較研究に着手した。月プラズマ環境についてTHEMIS-ARTEMISの二機観測データ解析を実施し、昼側月面における電子放出および表面帯電に関する初期結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画初年度の2022年度には、MAVENとMars Expressの二機同時観測データの解析から、太陽風駆動のプラズマ波動が火星昼側電離圏全体にエネルギーを注入していることを示唆する結果を得たが、当初想定していたよりも大規模な統計解析に時間を掛けて取り組んだことにより、研究成果をまとめる時間が十分に確保できなかった。 計画二年目の2023年度は、2022年度に取り組んだ研究内容を発展・拡充させたことに加え、当初の計画に従ってその他の現象についても複数探査機が取得した観測データの本格的な複合解析に着手した。その結果、上流波動が火星電離圏に及ぼす影響の時空間変動・太陽風依存性、火星夜側電離圏の電波吸収など、多岐にわたる成果を得ることができた。それに加え、当初の計画を更に発展させる形で、比較衛星プラズマ環境研究の布石となる月プラズマ環境に関する研究に着手し、自然衛星のプラズマ・電磁場環境を考える上で重要となる表面帯電についての研究成果を上げることができた。そのため、「おおむね順調に進展している」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前年度に引き続き、当初計画に沿って火星多点観測データの複合解析を実施する。具体的には、火星夜側電離圏に着目し、Mars Expressのトップサイドサウンディング観測から得られるピーク電子密度の地理分布と上流太陽風パラメータ依存性を調査する。夜側電離圏の供給源の一つとなる超熱的電子の降り込みは、最近のEMMによる火星ディスクリートオーロラ観測から太陽風磁場方向と火星地殻磁場の分布に強く依存することが示唆されており、Mars Expressによる夜側電離圏観測とEMMによるオーロラ観測の比較解析を進める。さらに、2023年度に初期結果が得られた、無大気衛星のプラズマ環境についての発展研究も推進する予定である。
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