氷衛星内部におけるリンの存在状態の解明:生命を育む衛星の形成環境
Project/Area Number |
22K14086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 悠里 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (40815164)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 氷衛星 / 内部海 / リン / ハビタビリティ |
Outline of Research at the Start |
氷衛星の内部海は、地球外生命生息地の有力候補の一つであると考えられている。内部海の環境は天体ごとに大きく異なる可能性が示唆されており、今後の生命探査ミッションの計画には、液体の水の存在以上の生命存在可能性の指標が必要である。本研究では、少なくとも地球生命には必須元素であるリンに着目し、氷衛星の内部海が生命に適した環境となり得るかどうかを研究する。高圧地球化学実験の分野で培われたノウハウを応用し、形成時の氷衛星が分化する際のリンの挙動を調べ、リンが内部海に溶出し生命に利用可能な形になるための条件を探る。そして、さらに、その条件が実現可能になるような衛星形成プロセスを理論的に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
土星の衛星エンセラダスやタイタン、木星の衛星エウロパやガニメデなどの天体は、氷で覆われた表面と岩石組成のマントル/コアの間に液体の海が存在すると考えられている。このような氷衛星の内部海は、地球外生命生息地の有力候補の一つとして、近年特に注目を集めている。本研究の目的とする、氷天体の岩石層から内部海へのリンの供給メカニズムを解明し、「氷衛星の内部海は生命に適した環境か?」という問いに答えるために、実験・理論の両面から研究を進めた。 氷衛星の岩石層からリンが内部海に溶出可能かどうかを研究するためには、リンがどのような鉱物形態として存在するかを調べることが非常に重要である。そのためには、氷衛星が集積熱や放射性核種の崩壊熱によって分化する際に、内部に含まれるリンの形態がどのように変化するかについて明らかにする必要がある。よって、初年度は、氷衛星の内部の環境を模した高温・高圧条件を再現し、鉱物の生成実験を行った。隕石組成の試料を用意し、まずは反応に適した温度や必要な反応時間を調べるための実験を行った。そして、出発物質の組み合わせを変えた高温・高圧実験を行い、生成物中のリンの状態を分析した。 また、衛星の形成時期や形成環境の温度や宇宙線飛来状況を調べるために、理論的な研究も行った。衛星の形成環境である周惑星円盤の温度・面密度の時間変化をその母天体である原始惑星系円盤の進化を考慮しながら計算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験では、当初予定していた温度・圧力条件では反応が十分に進まないということが判明したが、その後試料の調整や実験条件の再検討を行い、本研究に適した実験の条件が定まってきた。また、当該プロジェクトに関連深い宇宙線についての学際研究会を開催し、理論的な研究を中心に研究のネットワークを広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
高温・高圧実験は準備に時間がかかるため、回数を多く行うことは困難である。よって、初年度の研究で得られた知見だけでなく、理論的な研究を進めた上で、さらに条件を変えた実験を行っていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)