Project/Area Number |
22K14090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
伊藤 祐一 国立天文台, 科学研究部, 特任研究員 (20823264)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 系外惑星 / 岩石惑星 / 大気 / 惑星大気 / マグマ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、理論観測双方向の検討から、主星近傍を周回する系外岩石惑星の現在および形成時のH2O量の特定及び観測的特定可能性を評価する。特に、内部の組成情報が直接的(マグマの蒸発)に観測可能な大気に供給される主星近傍の系外岩石惑星固有の特徴に着眼し、系外惑星で直接観測可能な大気だけでなく観測が困難な領域である地表組成・その内部を大気観測から読み解く検討を行う。これは、系外惑星分野では初の岩石惑星の詳細な化学的特徴づけを行うものであり、岩石惑星の多様性・形成過程の理解へとつながるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
宇宙望遠鏡JWSTを用いた主星近傍の系外岩石惑星55 Cnc eの大気観測を昨年度実施しており、そのスペクトルデータを用いて、共同研究者と共に大気組成の制約を本年度試みた。このJWSTの観測結果から、55 Cnc eは岩石蒸気大気を持たず、惑星表面のマグマオーシャンから供給されたと期待される一酸化炭素ないしは二酸化炭素に富む揮発性成分で構成された二次大気を持っている可能性が高いと解釈される。本結果は、55Cnc eのマグマが地球と同程度の炭素割合を持つことを示唆している。系外惑星の大気を観測スペクトルから理解する上で重要となる新たなスペクトル解析手法を開発した。本手法では、従来個別に行われていたライトカーブ解析とスペクトル解析を同時に行うことで、従来と比べて観測ノイズをより正確に伝搬させた上での大気組成の制約を可能にしている。特に、本手法は、惑星全球の温度や組成の水平空間依存性が強い場合に効果的であり、将来的に主星近傍の系外岩石惑星の大気観測スペクトル解釈に役立つと期待される。系外岩石惑星の揮発性成分量の主な喪失過程である大気散逸のモデル開発を行った。特に、大気の散逸率を決定する上で重要となる赤外放射線を多く持つ分子種の放射冷却について、従来は膨大な計算コストのために無視されていた数百万に及ぶ全ての放射線を、相関k分布法を用いることで、現実的に可能な計算時間で考慮可能な散逸モデルを開発した。水などの赤外活性分子の冷却率について、従来では数百万の放射線を無視していたために最大1桁のモデルの誤差が生じていたが、本手法では最大数十%に抑えられることを示した。本検討は、水蒸気大気などの赤外活性分子を多く含む系外岩石惑星大気の散逸率を調査する上で有用であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分野内で初のJWSTを用いた主星近傍の系外岩石惑星の大気観測を実施し、その大気スペクトルから、その大気組成を制約した。水蒸気でなく一酸化炭素ないしは二酸化炭素に富む大気であることから、この惑星は水より炭素に富む可能性が考えられ、制約された大気組成から惑星の炭素割合を解釈した。加えて、大気観測スペクトル解析方法の開発、大気散逸モデルの開発を行った。これらの研究はすでに国際学術雑誌に受理されている。これらのことから、当初の予定通り、順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、なぜ観測を行った主星近傍の系外岩石惑星は炭素を持つが水を持たなかったのかという疑問が生じた。その点を調査するため、大気散逸モデルを用いて主星近傍の系外岩石惑星の環境下での水と炭素、それぞれの散逸可能性を調査する必要があると考える。加えて、他の主星近傍の系外岩石惑星も同様であるか否かを調査するため、JWSTを用いた観測の提案を行う。
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