Mechanisms of the distinctive seasonality and variability of the activity of "South Coast Cyclone" along the Kuroshio
Project/Area Number |
22K14097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡島 悟 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (10881964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 南岸低気圧 / 移動性低気圧 / ストームトラック / 季節性 / 降水 / 季節変動 / 気候変動 / 温帯低気圧 |
Outline of Research at the Start |
本州南岸を東進する「南岸低気圧」は我が国の日々の天気・天候に大きく影響する.しかし,南岸低気圧全体の集団としての活動が晩冬~春に最も活発となる特徴的な季節性の要因分析や,活動度の年々変動・将来変化に関する評価は,未だ不十分である. 本課題では,大気再解析データや気候モデルの出力データを用い,南岸低気圧の活動度の季節性の要因の解明,活動度の変動に伴う大気循環変動パターンとそれらを強制し得る要素の同定,将来気候における変化の評価を行う.南岸低気圧に関する包括的な理解を深化させ,日本の天候の季節性の理解と予測可能性の新たな根拠の提示を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本州南岸を黒潮に沿うように東進する所謂「南岸低気圧」は,人口密集地帯の近傍を通過し,日々の天気・天候に大きく影響するため,社会経済的に重要である.しかし,その集団としての活動が晩冬~春に最も活発となる特徴的な季節性の要因分析や,活動度の年々変動・将来変化に関する評価は,これまで不十分だった. 令和5年度は,前年度に作成した,大気再解析JRA-55に基づく南岸低気圧の長期間の統計を用い,南岸低気圧の晩冬~春の活動度ピークの要因分析を進めた.南岸低気圧発生時には,東シナ海周辺の下層ジェットの極側で風の低気圧性シアと水平温度勾配が強まる傾向があった.大気の前線の客観的な抽出データに基づき,南岸低気圧発生時には晩冬~春の東シナ海で前線存在頻度が高まっており,大気の前線と南岸低気圧活動の季節性との関連が示唆された.加えて,春の華南~東シナ海における下層ジェットの発達に対し,東アジア域の非断熱加熱の季節進行が重要であるという知見が,線形傾圧モデルを用いた数値実験によって示された. 南岸低気圧活動度の年々変動に関しては,東シナ海周辺下層での風の低気圧性シアが強い春に南岸低気圧の発生頻度及び本州南岸での低気圧頻度も高くなるという,気候平均の季節進行と整合的な結果を得た.付随して東アジア上空に高気圧性循環偏差及び上流からの波束伝播が見られるものの,下層と比較してそれらの振幅は小さかった.また,エルニーニョ・南方振動と春の南岸低気圧活動との関係は弱かった. さらに,d4PDFを用いた南岸低気圧活動度の調査を引き続き進め,加えてCMIP6参画モデルでの南岸低気圧活動度の解析を開始した.d4PDFの大アンサンブルを活かし,南岸低気圧活動の海面水温・海氷による潜在的予測可能性を定量化し,春の潜在的予測可能性が冬と比べても低いという,大気再解析の結果と整合する知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は,本研究課題の主目標である南岸低気圧活動の季節性の要因調査を中心に行った.大気長期再解析に基づく南岸低気圧発生時の典型的な状況の調査に加え,大気の前線との関連,南岸低気圧発生に関わる過程の定量的診断,線形傾圧モデル実験など,計画時よりもさらに多角的な視点から解析を進めた結果,東シナ海~日本南岸の低気圧存在頻度の春の極大に対し,東アジア陸域の非断熱加熱の季節進行が重要であるという,当初計画と比較してもより包括的な新しい知見を得た.これらの結果については,招待講演を含む複数の学会発表を行うと共に,国際共同研究として国際誌へ論文を投稿済である.加えて,令和4年度に作成を完了した低気圧抽出プログラムを利用し,南岸低気圧活動の季節性に関わる,北太平洋寒候期における低気圧・高気圧存在頻度の特徴的季節進行に関する研究結果を国際学術誌に査読付き論文として複数出版した. 南岸低気圧活動度の年々変動に関しても,春の活動度の年々変動に伴う大気循環偏差及び海面水温偏差との関係の調査を進め,その結果を学会で発表した.年々変動の結果については,現在論文投稿の準備中である. また,令和5年度は,長期気候変動推計データセットd4PDFの大アンサンブルを活用した,春の南岸低気圧活動の潜在的予測可能性に関する結果について,国際学会を含む複数の学会発表を行った.さらに,当初計画のd4PDFだけでなく,CMIP6参画モデルを用いた南岸低気圧中心に関する統計の作成を進めた. これらは,本研究課題が当初の計画以上に進展している事を示す.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,南岸低気圧活動の季節性の要因調査論文の出版を目指す.加えて,南岸低気圧活動の変動をもたらす大気循環偏差パターンと外部強制の調査を,大気長期再解析及び長期気候変動推計データセットd4PDFを用いてさらに進め,論文投稿を目指す.海面水温や海氷変動によって強制される南岸低気圧活動度変動と大気の内部変動に伴う南岸低気圧活動度変動を分離し,定量的な潜在的予測可能性の評価を行うと共に,冬季と春季の比較を行う. 南岸低気圧活動度の将来変化に関しては,d4PDFだけでなく,CMIP6参画モデル出力結果に基づく南岸低気圧活動度の評価をさらに進め,気候モデルにおける南岸低気圧活動度の再現性や,その将来変化のモデル間のばらつきを評価する事を目指す.
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Report
(2 results)
Research Products
(37 results)