Project/Area Number |
22K14126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
久保田 達矢 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 主任研究員 (70808071)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | プレート境界浅部すべり / 2011年東北地方太平洋沖地震 / 津波 / 地震 / 海底圧力計 |
Outline of Research at the Start |
2011年東北沖地震においてプレート境界浅部が大すべりを起こした理由を明らかにすることは,プレート浅部すべりの挙動と巨大津波の発生の理解のために重要である.しかし,現状では,解析の限界により,決定的な答えは得られていない.本研究は,震源域直上の海底水圧計の超広帯域変動成分を活用して高い解像度で浅部すべり分布を推定し,地震時に解放された応力(応力降下分布)から浅部の応力蓄積状態を定量的に明らかにして,浅部大すべりが生じた原因を解明する.
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに実施した,2011年東北地方太平洋沖地震のプレートすべり分布および応力降下の分布を推定の解析の結果から,東北地震の際には宮城沖のプレート境界の浅部では地震時に応力をほとんど解消しておらず,応力は深部側でのみ解消されていたことがわかった.この結果から,東北沖地震前にはプレート境界の浅部の力学的な固着は弱く,東北地震時に生じた浅部の大すべりは,より深部側にある強い力学的固着が蓄えた応力を解消することで生じた,ということが示唆された.一方で,昨年度までの解析では,使用した計算プログラムの制約上,均質な媒質を仮定した地殻の構造のもと地表の変形や応力場を計算せざるを得なかった.しかし実際の地殻構造は沈み込むプレートをはじめ,3次元的な複雑な構造をしている.さらに,同プログラムの制約上,海底は「平ら」であると仮定する必要があったが,実際の解析領域で三陸から福島までの沖合の海底地形の起伏は大きい.解消された応力の大きさや力学的固着の度合いなどを定量的に議論するためには,それらの影響をただしく考慮することが必要である.本年度は,より現実に近いすべりと応力解放の分布を得るために,3次元構造を考慮した地殻の変形計算の準備に取り組んだ.具体的には,有限要素法計算プログラムの入力となる,3次元の構造メッシュモデルの作成に取り組んだ.テスト計算を実施し,計算が動作することを確認した. 加えて,昨年度までに得た結果を国内外の学会等で発表し,関連する分野の研究者と議論を深めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの研究で,2011年東北地方太平洋沖地震の大局的な「浅部すべり像」が得られ,本研究の最大の目的である「2011年東北地方太平洋沖地震において,なぜ地震すべりを起こさないはずのプレート境界浅部が大きくすべったのか」という学術的問いに対する一定の回答は得られたと考える.一方で,いまだ推定精度や時空間解像度については向上の余地があり,現在,より現実的な構造を考慮した解析に取り組んでいる.また,東北地震のこれまでの東北沖地震の先行研究からは,三陸沖(北緯39から40度)の浅部にも津波励起源があったことや,福島沖(北緯37度)におけるすべりの広がりの南限はまだよくわかっていない.これらを明らかにすることは東北地震の包括的な理解に向けて非常に重要なものである.これらの課題を解決するために,東北地震の応力降下量を高い精度と信頼度で推定することが必要であり,現在,3次元的な構造を考慮した地殻変動計算に取り組んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で地殻構造の不均質性や海底地形の形状を考慮した地殻の変形場・応力変化を計算する準備は整った.今後は,これらの点を考慮した,よりもっともらしいモデルの推定に取り組み,東北地震のすべりの包括的な理解を目指す.さらに,震源直上の海底水圧計が記録した高周波な地震波 (水中音波) 成分も活用して震源断層モデルの時間解像度を向上させ,地震時にプレート境界で解放された歪みエネルギーの詳細な推定も試みる予定である.
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