HELP理論を用いた水素のモデル化に基づく疲労き裂発生加速機構の解明
Project/Area Number |
22K14151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
蓮沼 将太 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (50709764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 水素 / 疲労 / 転位 / 疲労き裂発生 |
Outline of Research at the Start |
再生可能エネルギーの活用のために,燃料電池自動車や風力発電などに注目が集まっている.これらの機器において問題になるのは,超高サイクル疲労強度に及ぼす水素の影響である.水素により疲労き裂発生寿命は低下するが,そのメカニズムは解明されていない.本研究では,HELP(水素助長局所塑性変形)理論に基づき水素の影響をモデル化することで,疲労き裂発生に及ぼす水素の影響を解明することを目的とする.分子動力学法と水素拡散解析を行い,転位に及ぼす水素の影響をモデル化し,転位動力学法に導入する.それを用いて疲労き裂発生解析を行う.解析結果を実験と比較することで,疲労き裂発生に及ぼす水素の影響の解明に挑む.
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Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーの活用のために,燃料電池自動車や風力発電などに注目が集まっている.これらの機器において問題になるのは,超高サイクル疲労強度に及ぼす水素の影響である.水素により疲労き裂発生寿命は低下するが,そのメカニズムは解明されていない.本研究では,HELP(水素助長局所塑性変形)理論に基づき水素の影響をモデル化することで,疲労き裂発生に及ぼす水素の影響を解明することを目的とする. 今年度は,本研究では水素拡散解析を用いて転位に及ぼす水素の影響をモデル化および転位動力学法を用いた疲労き裂発生シミュレーションを行った.加えて,真空環境下における超音波疲労試験の方法を検討した. 転位に及ぼす水素の影響をモデル化については,「転位間相互作用の減少」と「転位の易動度の増加」をモデル化した.「転位間相互作用の減少」については,二つの転位に対する二次元解析を行い,転位周りの水素分布を計算した.その水素分布を基に,水素によるせん断応力を計算した.転位の位置を変えた解析を行い,転位間距離,転位間角度と水素によるせん断応力の関係を数式化した.「転位の易動度の増加」については,Balらの分子動力学解析の結果を基に,水素濃度と転位の移動速度の関係を数式化した. 転位動力学法を用いた疲労き裂発生シミュレーションについては,上記のモデルを転位動力学法に導入し,シミュレーションを行った.その結果,水素によって疲労き裂発生が加速することが明らかになった. 真空環境下における超音波疲労試験については,真空槽の作成と真空ポンプの選定を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元転位動力学法を用いた検討は計画よりも順調に進んでおり,疲労き裂発生に及ぼす水素の影響を明らかとなっている.そのため,2023年度中に投稿論文として発表することを予定している.真空環境中の疲労き裂進展試験については,納品が遅れているものの真空槽の設計は終了しており,納品後に組立てれば完成する.2023年度は真空槽の性能を確認後,疲労試験を行う予定である. 以上のことから,研究計画はおおむね順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
転位動力学法については,2023年度は3次元転位動力学法を用いた検討を行う.2次元解析では,フランクリード源やジャンクションなど転位の複雑な現象を再現できない.そのため,3次元解析を行うことでより現実に近い状態での検討を行う. 真空環境中の疲労き裂進展試験については,2023年度は疲労試験を行う予定である.真空槽の部品が納品され次第,真空槽を完成させる.真空槽の性能を確認後,疲労き裂進展試験を行う.疲労き裂進展試験を行うにあたり,真空中での疲労き裂長さ測定法の検討を行う. 真空槽中にある試験片に対しレプリカ法を用いて疲労き裂進展特性を評価するには多くの労力がかかる.そのため,レプリカ法を用いずに疲労き裂進展速度を測定する方法を検討する.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)