スパッタフリーなレーザ溶接技術を実現する金属蒸気挙動の理解と制御
Project/Area Number |
22K14165
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 慶吾 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (20911027)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | レーザ溶接 / 金属蒸気 / 発光分光分析 / 高速度観察 / シャドウグラフ / スパッタ / キーホール / せん断応力 / 気泡 / 可視化計測 |
Outline of Research at the Start |
レーザ溶接はリチウムイオン電池の高能率な製造技術として期待されているが、溶接中にはスパッタ(溶融金属の飛散物)が生じるため、高品質な電池を安定して製造することは難しい。スパッタは金属蒸気と溶融金属との相互作用で発生すると考えられており、スパッタの発生を抑制するためには金属蒸気挙動を理解し、制御する技術の確立が必要である。本研究では、レーザ溶接中に生じる金属蒸気に対して高速度観察および発光分光分析を活用した包括的解析手法を構築する。金属蒸気挙動を定量的に理解することでスパッタを誘起する物理現象を解明し、スパッタフリーを実現する金属蒸気挙動の制御技術の確立を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レーザ溶接中に生じる金属蒸気に対する高速度観察及び発光分光分析を活用した包括的解析手法を構築する。金属蒸気挙動を定量的に理解することで、特にスパッタ(溶融金属の飛散物)といった溶接欠陥を誘起する物理現象を解明し、スパッタフリーを実現する金属蒸気挙動の制御技術の確立を目指している。 令和5年度では、レーザ溶接中においてキーホール内部から噴出する金属蒸気がスパッタの発生に及ぼす影響について、定量的な理解を試みた。まず、金属蒸気物性を推定するため、純鉄板を対象としたビードオンプレート溶接時のキーホール直上において発光分光分析を実施した。その結果、400 nmから550 nmの波長域において鉄原子由来の発光スペクトルが複数計測でき、Boltzmann-Plot法を適用することで鉄蒸気温度は約6000 Kであることが明らかとなった。ここでは蒸気の組成が鉄100%であると仮定することで、鉄蒸気の密度や粘性係数を推定した。次にキーホールから噴出する鉄蒸気の速度の推定に取り組んだ。速度の推定にあたっては、単位時間あたりにキーホール内壁面から生じる鉄蒸気量は全てキーホール開口部から噴出する、と考えた。キーホール内壁面温度、キーホール形状および鉄の物性等をもとに、キーホール開口部から放出されうる鉄蒸気の質量流束を求め、鉄蒸気密度で除することでキーホール開口部から噴出する鉄蒸気の平均流速を求めた。そして、鉄蒸気の粘性係数や速度から、キーホール内壁面にはたらくせん断応力を推定した。一方で、スパッタの発生量を定量的に評価するため、シャドウグラフ法による高速度観察も実施し、画像解析によってスパッタ量を計測した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザ溶接中のキーホールから噴出する金属蒸気が誘起するせん断応力やスパッタ量について、定量的な理解を深めることが予定通りにできている。また、令和5年度は国際溶接学会(IIW)で口頭発表を行い、これまでの成果の一部を発信した。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では、噴出する金属蒸気によるせん断応力を低下させることで、スパッタを低減する技術の確立を目指す。具体的には、溶接時のシールドガスに熱伝導率の高いガスを用いて金属蒸気の粘性係数を低下させることが可能か、レーザ照射方法によって金属蒸気の噴出速度を低下させることが可能かを検証する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)