Project/Area Number |
22K14286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神野 莉衣奈 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50915022)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 超ワイドバンドギャップ半導体材料 / 酸化物半導体 / 構造相転移 / 準安定相 / 半導体 / 酸化物 / 酸化ガリウム |
Outline of Research at the Start |
Ga2O3 の結晶多形の中でα相は熱的に準安定相であり、 600℃以上の熱処理で最安定のβ相へ相転移する。本研究では、異方的応力が α-Ga2O3 の高温での反応速度論的安定性へ与える影響について解明することで、デバイスプロセスで必要となる1000℃で30分間以上の熱処理を可能とする手法を開発し、α-Ga2O3 のデバイス応用技術の発展へ貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究において、サファイア基板上に準安定相α-Ga2O3を選択成長させることで、結晶が空間的に分離され、安定核(β相)が他のパーターンへ伝搬することをブロックし、α相の速度論的熱安定性が向上した。本年度は、その安定化機構を解明するために以下の研究を実施した。 1. 選択成長のパターン構造のサイズ依存性を調べた。正方形の一片を10~100μmで変化させたパターン上を用いてc面サファイア基板上にα-Ga2O3を選択成長させた。その場高温顕微観察を用いて、相転移した割合(転移率)を調べた。 (i) 一つの正方形内の安定核 (β相)の成長(伝搬)速度は、正方形のサイズには大きく依存せず、温度が上昇するほど増加した。また、1次元および2次元的に伝搬する様子が見られた。 (ii) 全体の正方形のパターンの数に対して、β相の核が発生し相転移した正方形の割合 (転移率) を調べた。正方形のサイズが大きいほど核の発生速度が増加する傾向が得られた一方で、結晶性など他の要因の可能性も示唆される結果が得られた。アニール温度600℃において、薄膜では時間経過とともに最終的に全体が転移し転移率が1となったのに対し、選択成長α-Ga2O3では転移率の飽和がみられ、最終転位率が0.15以下となった。温度を上昇させることで最終転移率は増加したが、1より低い最終転移率は、速度論だけでなく熱力学的な安定化を示す結果となった。 2. 直径3 μmのドットパターン上に選択成長した試料に対し、大気雰囲気下で1000℃および1100℃で30分間の熱処理を行い、降温後にラマンマッピングを行い構造の評価を行った。ラマンマッピングから、β相へ完全に相転移しているドットとα相が維持されているドットが存在していることが明らかとなった。また、一部ではあるが本研究の目標である1000℃以上30分間の熱処理後の構造の維持を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サファイア基板上選択成長α-Ga2O3の最安定相への転移率を調べ、パターンのサイズを小さくすることで核の発生速度が低下し、速度論的に安定化する傾向が得られた。また、1より小さい最終転移率の存在が明らかとなり、熱力学的にも安定化していることが示唆された。準安定相材料の速度論的安定化を目指していたのに対し、熱力学的安定化が得られたことは大きな進展である。一方で、1000℃以上での安定化は3umという非常に小さいサイズでのみ実現されており、相転移機構を解明しより大面積での安定化を実現する必要がある。 以上の結果から、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
選択成長によるα-Ga2O3の熱安定化および当初の計画のアルミナキャップ層を用いた応力と熱的安定性の相関、さらに欠陥、面方位との関連について研究を行う。 1. 選択成長したα-Ga2O3はパターンのサイズの減少とともに、高温において速度論・熱力学的に安定化する傾向が得られた。その場高温顕微ラマン観察、マッピングによりパターンのサイズと面内に印加される応力の関係を明らかにする。 2. パターンのサイズ以外に、マスク材料のSiO2の蒸着手法が熱的安定性へ影響を与えている可能性が考えられる。SiO2蒸着時の基板へのダメージに由来する転位などの結晶欠陥密度と熱的安定性の関係を調べる。 3. これまで実施した研究ではc面サファイア基板を用いてきたが、他面基板を用いることで基板の面方位依存性を明らかにする。 4. アルミナキャップ層により異方性圧縮応力を印加し、応力が熱的安定性に与える影響を調べる。
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