半導体レーザーによる酸化物半導体の単結晶帯成長と高性能フレキシブルデバイスの創出
Project/Area Number |
22K14303
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曲 勇作 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (20874887)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 酸化物半導体 / 薄膜トランジスタ / 高移動度 / 低温固相結晶化 / フレキシブルデバイス / レーザーアニール |
Outline of Research at the Start |
申請者は酸化物半導体の低温(~300℃)固相結晶化技術を開発し、水素添加した多結晶酸化物半導体(In2O3:H)にて、非晶質InGaZnOの10倍の移動度(139 cm2V-1s-1)を有する薄膜トランジスタを実現した。 そこで本研究では、更なる高移動度化に向けレーザーアニールによる酸化物半導体の単結晶帯化を試みる。結晶成長メカニズムを明らかにし、その制御技術を確立することで、高性能単結晶酸化物フレキシブルデバイスという新たな分野を開拓していく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は2022年、水素を添加し低温(~300℃)で固相結晶化した水素化多結晶In2O3(In2O3:H)膜を活性層に用いた薄膜トランジスタ(TFT)にて、IGZO TFTの10倍、多結晶Si TFTに匹敵する電界効果移動度(uFE)を示す世界最高性能酸化物TFTを実証した。本研究では、In2O3:H薄膜の結晶化・横方向成長メカニズムを明らかにすることを目的とし、結晶粒径制御技術を確立することで更なる高移動度酸化物デバイスの実現を目指す。 初年度前半は、半導体レーザーアニーリングによる非晶質In2O3:H薄膜の結晶化を試みた。波長405 nmの半導体レーザーの走査速度・パワー密度を調整することで、In2O3:H薄膜の横方向成長に成功し、結晶粒径は約2 umまで増大した。しかし、得られた多結晶In2O3:H薄膜のキャリア濃度は高く、TFTはスイッチング特性を示さなかった。レーザー走査時に酸素が脱離し、膜中に酸素欠損が生成されたものと考えられる。 その後、申請者の異動に伴い、使用できる実験装置に変更が生じた。初年度後期は、パルスレーザー堆積(PLD)法によるIn2O3:H薄膜の成膜条件およびTFT作製プロセスの検討を行った。PLDチャンバー内の背圧を高くした状態でIn2O3膜を成膜することで、空気中の水分をIn2O3膜に取り込み、H2ガスを流すことなく水素濃度制御を可能とした。背圧を高くしてIn2O3:H薄膜を成膜することで、アニール処理時に異常粒成長(~3 um)が起こり、それに伴ってHall移動度が増大(> 100 cm2 V-1 s-1)することがわかった。さらに本手法により作製した多結晶In2O3:H TFTにおいてuFE = 80~90 cm2 V-1 s-1を実現した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクト開始早々、申請者の異動に伴う実験装置の変更が生じたものの、新たな研究環境においてIn2O3:H薄膜の成膜条件およびTFT作製プロセスを構築し、高移動度TFT作製に成功しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降も薄膜合成とデバイス作製・評価を相補的に進め、薄膜・デバイス構造の設計にフィードバックをかける。 以下の点に着目し研究を進める。 ① In2O3:H薄膜の結晶化・横方向成長メカニズムの解明: 成膜条件・アニール条件を変化させ作製した結晶状態の異なる多結晶In2O3:H薄膜の電子状態・局所構造などを評価することで結晶成長メカニズムを検討する。 ② TFT構造の最適化: 熱電能電界変調法により多結晶In2O3:H TFTの熱電能を計測することで、有効チャネル厚さを求め、デバイス構造を最適化する。 ③ TFTの信頼性評価向上: 多結晶In2O3:H TFTの熱や電気的ストレスに対する安定性を評価し、高性能・高信頼性TFT実現に向けた基礎データを蓄積する。 ④ フレキシブル基板上での高移動度酸化物TFT作製: 実際にフィルム上に多結晶In2O3:H TFTを作製し、デバイスの初期特性・ストレス信頼性・折り曲げ耐性などを評価する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(25 results)