来る1000量子ビット時代に向けた低消費電力超伝導増幅器の開発
Project/Area Number |
22K14304
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沓間 弘樹 東北大学, 工学研究科, 助教 (80939950)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
|
Keywords | パラメトリック増幅 / 超伝導デバイス / 力学的インダクタンス / 準粒子損失 / 二準位系ノイズ |
Outline of Research at the Start |
超伝導量子コンピュータは、現在最も開発が進んでいる量子コンピュータの実装方式である。現在の開発速度で量子ビット数が推移すると2020年代中盤には1000量子ビットを搭載したデバイスが実現すると予想される。1000量子ビットの量子コンピュータを動作させるためにはその読み出しに使用されるマイクロ波増幅器も同規模で動作させる必要がある。しかし、現在読み出し信号の増幅に使用されているHEMT増幅器は発熱が大きく冷凍機の冷却能力の観点から100個以上を並列動作させることは困難である。本研究では、HEMT増幅器に対して消費電力が千分の一以下のKTWPAと呼ばれる超伝導増幅器を開発し、この問題の解決を図る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2020年代中盤には、1000量子ビット以上を搭載した超伝導量子コンピュータが実現すると予想されている。しかし、現在読み出しに使用しているHEMT増幅器は発熱が大きく冷凍機の冷却の観点から100個以上の並列動作が難しい。本研究は、HEMT増幅器に対して消費電力が千分の一以下の超伝導進行波型増幅器 Kinetic inductance Traveling Wave Parametric Amplifier (KTWPA)を開発し、この問題の解決を図ることを目的としている。 本年度は、KTWPAの評価、材質の特性評価、評価系の立ち上げ、理論検討を主に行なった。まず、KTWPAの評価に関しては、昨年度作製を行ったKTWPAの周波数掃引測定を行い、概ね設計周波数にバンドギャップを確認することができた。しかし、期待していたよりも小さい直流電流印加で、KTWPAが常伝導状態になってしまい利得を確認することができなかった。材質の特性評価に関しては、異動に伴い新しい研究拠点で主に使用されている窒化ニオブを使用した共振器を作製し評価を行なった。その結果、KTWPAの先行研究と概ね同様の材質特性を確認することができた。新しい研究拠点でのマイクロ波測定系の立ち上げを行い到達温度2.3 K以下のギホード・マクマホン冷凍機および到達温度10 mK以下の希釈冷凍機での評価系を構築することができた。それに加えて新たに超伝導素子を評価するパッケージの改善を行い昨年度問題となっていたパッケージに起因する損失が抑制できていることを確認した。最後にKTWPAを4 K程度と比較的高い温度で動作させる上での理論検討を進め利得や雑音などのKTWPA開発に向けた指針を立てることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中にKTWPAの動作実証まで行うことができなかったため「やや遅れている」と自己評価をした。これは、当初予定していなかった研究拠点の異動により新しい研究拠点でのKTWPA開発に向けた準備に時間を要したためである。本年度中に新たな研究拠点での素子作製技術の習得、KTWPA開発に向けた材質の評価、およびマイクロ波測定系の構築を行うことができたため、本年度の遅れは、来年度に取り戻せると考えている。 また、利得は見えなかったものの昨年度作製したKTWPAで概ね設計周波数にバンドギャップを確認することができたこと、昨年度問題としていたパッケージに起因する損失に改善が見られたこと、4 K程度での動作を見据えた理論検討を進められたことなど、本年度中に重要な進捗を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、最終年度の目標達成に向けたKTWPAの測定系の構築や設計、作製、評価を進める予定である。本年度中に共振器を使用した窒化ニオブの材質評価を行うことができたため、この結果を踏まえたKTWPAの設計および作製を進める予定である。また、より作製が容易な共振器型の増幅器の開発も並行して行い様々な温度領域での利得や雑音の評価も進める予定である。それに加えて、KTWPAを動作させるための測定系の構築や安定的な作製に向けた作製手法の検討も進めていく予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)