劣化挙動を示す建物の非線形履歴モデル同定法及び極限地震動による耐震安全性評価
Project/Area Number |
22K14363
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Kobe University (2023) Hiroshima University (2022) |
Principal Investigator |
鍋島 国彦 神戸大学, 工学研究科, 助教 (80843622)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | システム同定 / 非線形履歴特性 / 実大振動台実験 / 剛性劣化 / 非線形 / 剛性劣化および耐力劣化 / 耐震安全性評価 |
Outline of Research at the Start |
大変形領域を考慮した非線形履歴モデルの同定は,既存建物の耐震安全性を評価する上で重要な意義を有する.既往研究で対象とされてきた履歴モデルはバイリニア型やBouc-Wenモデルなど限定的で,剛性劣化など劣化特性が考慮されていない.この背景には,力学モデルの運動方程式に立脚した逆問題の定式化に理論上の限界があることや,パラメータの増加に伴い目的関数の多峰性が顕著となること等が挙げられる. 本研究課題では,地震時劣化挙動を呈する建物の非線形履歴モデル同定法を展開し,同定されたモデルに基づき耐震安全性評価を行う.劣化型履歴特性を考慮した上で振動モデルを構築し,建物の残余耐震性能評価法への発展を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では,データ同化型同定法の課題であった「初期値依存性」に対応するために,2通りの方針で研究を推進した.一つは「多段階同定による同定精度の安定性向上」,もう一方は「新たな非線形履歴システム同定法の構築と併用」である.この内前者は,パラメータの一括同定を避けて部分構造毎に同定を行い,同定におけるパラメータ数を削減することで精度の安定性向上を意図したものである.これにより,一括同定に比して初期値依存の緩和が期待される.一方後者は,異なる同定法を併用することで,データ同化型同定法における初期値の目安を得ることを意図しており,2023年度では新たな同定法の構築に着手した.構築した同定法は履歴則の規定が不要であり,Poly-linear型で表される任意の履歴特性を統一的なアプローチの下で扱う手法である.手法の妥当性については,数値例題および実大振動台実験データに基づき検討した.数値例題では,Bi-linear型および修正武田型の履歴特性を呈するモデルを対象に検討を行った.応答データにノイズが混入しない場合において,同定値がモデル設定値と良好に一致したことから,手法の理論的な妥当性が確認された.一方,実大振動台実験では,同定された剛性等に基づき推定した荷重変形関係が実験結果と良好な対応を示すことを確認した.新たに構築した同定法は,その汎用性の高さ(抽象度の高さと関係)ゆえに具体的な履歴則を構築することが出来ないものの,同定された荷重変形関係を履歴特性化への端緒とすることで,前述した「初期値依存の緩和」に貢献するものと期待できる.以上の成果を活用し,2024年度も引き続いての検討を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度で取り組めなかった,同定手法の初期値依存性を緩和させるための方策について研究を推進した.直接的な貢献には至っていないものの,その有効性が示唆されること,また,その一部の研究成果を査読論文として取りまとめることが出来たため,この意味で「おおむね順調」と評する.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では,前年度で得られた成果を可能な限り活用し,同定された振動モデルの精度を検証するとともに,各クライテリアへの余裕度評価へと発展させ,建物の残余耐震性能評価を行う.
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)