Project/Area Number |
22K14402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 23030:Architectural planning and city planning-related
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
政木 哲也 京都橘大学, 工学部, 専任講師 (30796264)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 公共住宅 / 団地 / タイ / 地域コミュニティ / 祭礼 / 聖祠 / 住民コミュニティ / 住民自治 / 共用空間 / コミュニティ |
Outline of Research at the Start |
東アジアの主要都市において、産業の近代化に伴って都市人口の増加が生じ、多くのスラムが形成されたが、これらのクリアランスの一環として、近代的な公共住宅が整備された。本研究ではこれらの公共住宅における住民コミュニティの持続可能性に着目する。公共住宅の共用空間がどのように住民コミュニティの形成・維持に影響しているのかを、そこで行われる伝統的祭礼に着目し、タイの主要都市における事例とこれまで申請者が研究してきた京都での地蔵盆の事例とを比較する。この国際的な比較研究によって時代を超えて住み継がれる近代的な都市空間の管理運用のあり方について検証を行いたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主な研究実績は、夏季に実施したタイ北部の中核都市チェンマイ市における公共住宅団地の臨地調査である。市内中心部の周辺に位置するスラムは、かつて市外から流入した低所得層により形成されたが、そのうちいくつかは現在住環境改善プロジェクト「Baan Mann Kong」によって整備が行われた公共住宅団地となっている。今回調査を実施した団地は、Wat Yuen寺院のBaan Mann KongおよびSam Pak Wan Baan Mann Kongの2つである。チェンマイ大学建築学部のKitika講師とともに現地コミュニティに入り、住民への聞き取り調査および実測調査等を実施し、住民が代々継承している聖祠「Saan Phra Puum」の分布状況を明らかにした。Wat Yuen寺院のBaan Mann KongにおけるSaan Phra Puumの多くは、団地内の共用空間に配置されつつ、入居世帯ごとに手厚く祀られていることから、共用空間の緩やかな運用のあり方が見られた。一方San Pak Wanでは、入居者全体が市内別エリアから移住した経緯もあり、Saan Phra Puumは住民全体で共有できる大型ものを1つ配置している状況であった。住民コミュニティの強固な合意形成プロセスがSaan Phra Puum配置に際しても確認できた。 チェンマイ市での臨地調査の他に、首都バンコク市における公共住宅団地内における聖祠の分布状況の予備調査も実施した。先行研究で取り上げられたDin Deang団地およびBon Kai団地を視察することにより、大まかな聖祠の分布状況を把握した。 2022年度の調査研究内容については2023年9月に開催された日本建築学会大会(京都大学)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は世界的なパンデミックの影響を受け、タイでの調査活動が限定された。そのため、調査フィールドであるチェンマイ市とバンコク市における網羅的な予備調査を十分実施することができないまま、2023年度における臨地調査を敢行することになった。しかしながら、臨地調査ではチェンマイ大学建築学部Kitika講師による全面的なサポートを得て、限られた期間内に多くのデータを得ることが可能となった。また、春季におけるエフォートが当初予定よりも費やせず、臨地調査の回数を減らすことになったが、夏季の調査において調査補助員を増員させて、より効率的な調査実施に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究スケジュールの前半で実施予定だった調査フィールドにおける公共住宅団地の網羅的な状況把握は、2024年度から実施予定のバンコク市での臨地調査の準備と並行する。2023年度臨地調査時に、チェンマイ大学のNawit教授に紹介されたバンコク市のチュラロンコーン大学の研究者と連携を取り、臨地調査の方法を確立し以降のバンコク市での団地調査を計画する予定である。バンコク市の大規模公共住宅団地の共用部には、予備調査で観察したかぎり、様々な土着信仰や宗教によるアイコンが多く配置され、臨地調査時に有効な記録ができるように、バンコクでの都市信仰の状況把握も整理しておく必要があると思われた。今後タイを始め東南アジア地域の民俗学の研究者との意見交換等も必要と思われる。
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