Project/Area Number |
22K14416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
荒木 菜見子 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 講師 (00912437)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 商業施設 / 商店街 / 都市計画 / 建物疎開 / 引揚者 / 住宅 / 商業地区 / 地方都市 / 戦後復興 / 住宅供給 / 近代都市史 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、戦中から戦後期の鳥取県米子市に着目し、その時期において都市内で生起した建物強制疎開、その再建整備計画、引揚者住宅供給、市営住宅建設、土地区画整理などの各種の都市建設に関わる事業について、それらがどのような相関関係の中で実施されたかを俯瞰的かつ実証的に明らかにし、戦中から戦後にかけて一つの地方都市がどのように空間の変容を体験することになったのかを分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の成果をあげることができた。 (1)米子市中心市街地で戦後復興期から高度成長期にかけておこった商業施設の建設に着目し、それらが具体的に何年に、どの場所でおこったのかについて、『米子市史』や『米子三十年史』などの郷土資料から整理し、地図上に復原した。そこでは、中心市街地の中でも特に戦後拡幅工事が実施された国道沿いに商業施設が多数立地したことが明らかとなった。 (2)戦後に建設された商業施設がそれぞれどのような経緯でその場所に建設されることとなったのかに着目し、それぞれの社史や記念誌などから整理した。そこでは、上述のような道路の拡幅工事など公的事業との関係の中で土地の選定がおこなわれた事例が確認された。 (3)米子市中心市街地に立地する商店街において、戦後復興期から高度成長期にかけておこった変容に着目し、何年に何が、どのような経緯でおこったかについて、『米子市史』や『米子三十周年史』などの郷土資料から整理した。そこでは、戦後商店街が共同設備としてアーケードを設置したりカラー舗装を敷設したりする事業が確認された。また、戦災被害を受けなかった木造の町屋群による商店街においては、アーケード設置にともない切妻平入りのファサードに看板建築を施す操作が行われた事例も確認された。 (4)2022年度調査の内容について、戦後岐阜駅前における引揚者住宅および商業地区に関して明らかにした内容については、本年度の日本建築学会大会学術講演会(近畿)で、米子市における戦中の建物強制疎開と戦後の跡地の取り扱いについて明らかにした内容については、本年度の日本建築学会中国支部研究発表会(米子)でそれぞれ報告し、参加者らと闊達な意見交換ができた。 (5)近現代都市史の研究分野において活躍されている研究者らと、米子の現地においてフィールド調査を実施し、研究に対するご意見、ご助言をいただくことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度においては、米子市(米子市立図書館やNPO法人観光まちづくり公社など)および鳥取市(鳥取県立図書館や鳥取県立公文書館)において史資料の収集・分析をおこない、近現代都市史研究者らを招いてフィールドワークを実施した。また、得られた成果を学会発表の場で報告した。 本研究の目的は、山陰地方の中枢都市である鳥取県米子市を対象に、戦中から戦後にかけての都市空間編成に関わる各種の事業が、互いにどのような関係において実施されたかを明らかにすることであり、2022年時点で明らかにしたことと本年度の調査・分析で明らかにしたことを重ね合わせることで、都市空間を複層的に捉える視点を獲得しはじめている。また、他の研究者らとの意見交換を通じて、分析がより深まったと同時に今後の課題も確認することができた。 一方で、今年度の目標として掲げていた、戦後の主たる事業の一つである住宅供給政策に着目した調査については、未実施となった。ただし、概要を整理するに足りる史資料はすでに収集済みであるので、2024年度はこれらを分析しつつ、より詳細な内容を明らかにできる公文書等の史資料の収集・分析も実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度にあたるため、研究の取りまとめを見据えつつ、(1)住宅供給政策、(2)土地区画整理事業、(3)公共施設の建設事業について、それぞれの実施箇所、事業実施経緯等を把握するため史資料の収集・分析をおこなう。いずれも公的事業であるため、史資料の収集は米子市立図書館・鳥取県立図書館等の郷土資料や、鳥取県立公文書館所蔵の公文書の閲覧・収集を計画している。これらをこれまでと同様に地図上に復原し、最終的にはそれぞれの事業がどのように関係し合いながら都市空間が形成されたのか明らかにしたい。得られた成果は日本建築学会中国支部研究発表会での報告や日本建築学会計画系論文集への論文投稿などの形で報告することを考えている。
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