Project/Area Number |
22K14489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 26030:Composite materials and interfaces-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 諒 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (00815946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 熱可塑性複合材料 / 結晶性高分子 / フェーズフィールド法 / 均質化法 / 拡張有限要素法 |
Outline of Research at the Start |
本提案では、航空機等の構造部材適用を想定した結晶性熱可塑性樹脂とその炭素繊維強化樹脂(CFRP)を対象とし、成形条件が樹脂および熱可塑CFRPの微視的な結晶形態と巨視的な力学特性へ及ぼす影響を解明することを目的とする。この目的のもと、熱伝導解析、フェーズフィールド解析、均質化解析を組み合わせ、成形条件、微視的な組織形態、熱可塑性樹脂及び熱可塑CFRPの巨視的な力学特性を一気通貫に結ぶ、マルチスケール・マルチフィジックス解析手法を開発する。これにより、樹脂の微視的組織形態を介して成形条件から材料特性までを結び付け、用途に則した物性発現のための成形プロセス設定・材料設計を可能とすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、航空機等の構造部材適用を想定した結晶性熱可塑性樹脂とその炭素繊維強化樹脂(CFRP)を対象とし、成形条件が樹脂および熱可塑CFRPの微視的な組織形態(結晶化挙動)と巨視的な力学特性へ及ぼす影響を包括的に調査可能なマルチスケール・マルチフィジックス数値解析手法開発に取り組んでいる。提案手法の特徴は、熱伝導解析、フェーズフィールド(PF)解析、拡張有限要素法(XFEM)均質化解析を組み合わせることで、樹脂の微視的組織形態を介して成形条件から材料特性までを結び付ける点にある。 昨年度(令和四年度)までに、熱可塑性樹脂の結晶化PFモデル開発、ならびに得られた結晶構造の均質化解析手法開発が概ね完了したため、今年度(令和五年度)は当初の計画通り熱可塑CFRPの結晶化PFモデル開発、およびXFEM均質化解析による結晶層・非晶層の構成則同定に取り組み、これらを概ね達成した。具体的には、熱可塑CFRPの結晶化解析では繊維まわりでの特殊な結晶形態(トランスクリスタル)の定性的な再現を達成し、均質化解析では結晶化した樹脂の弾塑性特性の予測までを達成した。次年度(令和六年度)は熱可塑性樹脂、熱可塑CFRPともに結晶化PFモデルの適用範囲拡張、精度検証、高精度化を進める予定である。また、均質化解析においては、熱可塑CFRPの均質化解析にも着手する予定である。 令和五年度、該当研究に関連した研究成果は国際誌4報、国内誌1報に掲載済である他、国内学会1件にて発表した。また、国際誌2報の論文執筆を進めているほか、国際学会2件、国内学会2件での発表申込みが受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、令和五年度は「熱可塑CFRPの結晶化解析技術開発」、「XFEM均質化解析による結晶層・非晶層の構成則同定」の2項目を実施する予定であった。「おおむね順調に進展している」と判断する根拠について以下に述べる。 令和五年度においては、当初予定していた熱可塑CFRPの結晶化PFモデル開発、ならびにXFEM均質化解析に基づく構成則同定が概ね完了した。具体的には、PFモデル開発については、等温過程において繊維まわりで形成される特殊な結晶形態(トランスクリスタル)の定性的な再現を達成しており、今後の取り組みにより非等温過程への拡張、結晶構造の定量的予測までを見据えている。また、均質化解析に基づく構成則同定では、予定していた弾性特性だけでなく、降伏応力などの塑性特性の予測のため、非線形構成則のパラメータ同定を実施した。今後、非線形モデルの改良等により、最終破断時の破断ひずみの予測までを実現することを目指している。 以上より、現段階での研究進捗状況としては、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和六年度は、まず令和五年度までに構築した熱可塑性樹脂の結晶化PFモデル、均質化解析に用いる非線形材料モデルの改良を通じて、結晶化解析の適用範囲拡張および定量予測の実現、物性予測の機能拡張(最終破断まで)に取り組む。さらに、開発中の熱可塑CFRPの結晶化PFモデルの精度向上と、得られた結晶構造の均質化解析により、熱可塑CFRPの物性予測までを実現する。さらに、現時点では結晶化解析は時間的・空間的に均一な温度場を仮定した簡単な条件のみを対象としているが、成形解析等と連成して実際の構造物の成形過程での温度履歴を考慮可能することを目指す。これは当初令和七年度の実施項目であったが、進捗次第で前倒しで進めることも検討する。
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