金属酸化物クラスターの局所構造制御に基づく固体塩基触媒機能の開拓
Project/Area Number |
22K14543
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉川 聡一 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (80878322)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 担持金属触媒 / 金属酸化物クラスター / 塩基触媒作用 / 協奏触媒活性点 / 活性点構造制御 / CO2固定化反応 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,金属酸化物クラスターの局所構造制御に基づき,担体上の金属ナノ粒子との複合化による固体塩基触媒機能の開拓を目的とする.具体的には,担持金属ナノ粒子表面に金属酸化物クラスターを修飾し,構成要素それぞれの構成金属種・サイズ・形状を変えることで,金属酸化物クラスターの修飾密度やその局所構造を自在に制御し,金属ナノ粒子の水素活性化能や金属酸化物クラスターの表面酸素原子の局在電荷を能動的に設計する.このような新奇複合材料の設計指針を明らかにし,酸化還元能や塩基触媒能が協奏的に機能する複合活性点の自在制御に向けた知見を収集する.
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Outline of Annual Research Achievements |
触媒機能とその表面構造は密接に相関しており,触媒活性点の自在設計は触媒化学分野の根幹を担う課題である.本研究では,金属酸化物クラスターの局所構造制御に基づき,担体上の金属ナノ粒子との複合化による固体塩基触媒機能の開拓を目的とする.具体的には,担持金属ナノ粒子表面に塩基触媒作用を示す金属酸化物クラスターを修飾し,塩基触媒作用と担持金属種が有する酸化還元能が協奏的に機能する複合型活性点の創出と,その活性点構造の制御並びに機能開拓に取り組む.構成要素それぞれの構成金属種・サイズ・形状を変えることで,金属酸化物クラスターの修飾密度やその局所構造を自在に制御し,金属ナノ粒子のレドックス能や金属酸化物クラスターの表面酸素原子の局在電荷を能動的に設計する. 令和4年度は,担体上に担持した白金及び銀ナノ粒子へのLindqvist型の金属酸化物クラスターの修飾と触媒特性評価を行った.担持白金触媒表面にニオブ及びタンタルからなる金属酸化物クラスターを修飾すると,CO2を炭素源としたピぺリジンのNホルミル化の活性が著しく向上した.また,担持銀ナノ粒子へのニオブ酸化物クラスターの修飾によりアルコールによるアミンのNアルキル化が高い選択性で進行した.いずれの触媒系でも,金属酸化物クラスターが金属粒子表面に構造を保ったまま選択的に修飾されたことを確認した.外部塩基の添加によって活性が向上したことから,金属酸化物クラスターの塩基触媒機能との協奏により反応が進行したといえる.また,金属酸化物クラスターの表面酸素原子の負電荷制御による塩基触媒能の開拓を志向し,ニオブ及びタンタルからなる複合金属酸化物クラスターを合成し,エポキシ化合物へのCO2の環化付加の選択性制御を達成した.以上のように,種々の担持金属ナノ粒子への金属酸化物クラスターの修飾により,その塩基触媒能との協奏で駆動する触媒系を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,担持金属ナノ粒子表面に修飾したアニオン性金属酸化物クラスターの構成金属種・サイズ・形状の制御によって,金属ナノ粒子と塩基が協奏的に機能する触媒活性点の自在構築を目的とする.特に,金属酸化物クラスターの構造制御により塩基触媒特性を制御し,金属ナノ粒子との機能複合化に取り組む.実績欄に記載の通り,本年度は白金ならびに銀ナノ粒子を担持した触媒に吸着法により種々の塩基性金属酸化物クラスターを修飾することで,アミン化合物のNホルミル化およびNアルキル化の活性が向上することを見出した.また,ニオブおよびタンタルから構成される複合金属酸化物クラスターを合成し,その構成金属組成によって塩基触媒活性点を制御し,エポキシ化合物へのCO2の環化付加の選択性を制御できることを見出した.当初の計画にあった担持白金系触媒への金属酸化物クラスター修飾によるNホルミル化の達成だけでなく,その他の担持金属粒子系にも適用可能であることを見出しており,今後はその一般化のために異なる触媒系への適用を進める必要がある.また,合成した複合金属酸化物クラスターについては,担持金属ナノ粒子との複合化による精密設計や機能開拓を行えていない.最終年度においては,本手法をその他の担持金属触媒へと適用し,本複合材料の有用性を一般化するとともに,塩基触媒機能を制御した複合金属酸化物クラスターを種々の担持金属ナノ粒子表面に設計し,より効率よく機能する協奏型活性点の設計を目指す.また,構成要素と活性点構造の相関を種々の分光計測により検討し,金属酸化物クラスターの状態の触媒活性との相関を調査する.以上より,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は金属酸化物-金属酸化物クラスター複合型材料をその他の担持金属触媒および金属酸化物クラスターへと適用することで,金属酸化物クラスターの構成金属種・サイズ・形状に基づく塩基触媒機能の制御がその協奏触媒活性点に与える影響を明らかにするとともに,本複合活性点の設計指針を種々の担持金属触媒へと一般化する.本年度の検討において,白金並びに銀ナノ粒子表面へのアニオン性金属酸化物クラスターの修飾に成功し,複合化による協奏的触媒作用を見出した.また,異種元素からなる複合金属酸化物クラスターを合成し,その塩基触媒特性の制御を達成した.これまでに構成金属種数や組成の異なる金属酸化物クラスターの合成を達成しており,これらの複合金属酸化物クラスターを金属ナノ粒子表面に修飾することで,構成要素が最終的な活性点構造及びその特性に及ぼす影響を検討する.特に,用いる金属酸化物クラスターの構成元素,サイズ,負電荷が修飾密度およびその構造や電子状態に着目し,触媒機能との相関やX線吸収分光を始めとする分光計測による触媒構造評価から,触媒活性の向上や,設計指針の一般化に関する知見を深めたいと考えている.
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Report
(1 results)
Research Products
(26 results)