多能性幹細胞由来赤血球輸血製剤産生を目指した物理機械刺激による新規脱核機構の解明
Project/Area Number |
22K14545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杠 明憲 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (10939276)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 赤血球輸血 / 再生医療 / 大量製造 / 多能性幹細胞 / 物理機械刺激 |
Outline of Research at the Start |
再生医療としての赤血球輸血製剤を多能性幹細胞より作成するためには、赤血球前駆細胞の最終成熟における脱核現象の生体外再現が必須である。多能性幹細胞より作成した不死化赤芽球株に対して撹拌振盪による物理機械刺激の影響を解析し、脱核現象への影響を検討する。また細胞培養条件の改良によって脱核効率の向上をはかる。再現された脱核現象に対して各種解析を行うことで新たな寄与候補因子を明らかにし、成熟赤血球の安定的な大量製造へ結びつける。
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Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、培養不死化赤芽球株の最終成熟と脱核を促進させる培養条件の検討を実施した。培養不死化赤芽球株には、既報の生体赤血球体外培養法と同様に多数のオートファゴソームが観察され、臨床上の栄養欠乏性赤血球成熟不全と類似していることから、分化障害の原因と考えられた。結果としてHeminによる鉄供給と微量元素、アミノ酸等の添加により細胞質空胞は消失した。また上記改良により核周明庭の異常拡大についても改善が観察でき、健常ヒト赤芽球に近い形態となった。 また、物理機械刺激による脱核誘導法で発生した低細胞生存率に関し、原因として現在までの培養法では成熟障害により多染性赤芽球段階までしか分化せず物理機械刺激に耐えられない可能性が見出された。そこで、赤芽球成熟に関わる約90種の栄養素や低分子化合物などを探索し、31種の組み合わせによって最終成熟手前の正染性赤芽球段階と一部成熟赤血球導出まで分化誘導方法を進展させた。この最適化は、今後のオミクス解析による機構解明のために重要な条件検討である。 不死化赤芽球株のマウス輸注によるin vivo脱核誘導についての再現実験も進め、さらにルシフェラーゼアッセイによって輸注後不死化赤芽球株の肺と脾臓への集積を確認した。以上の進展をもとに、これらの臓器から生体内輸注後の不死化赤芽球株をソーティング採取し、今後mRNA網羅解析を行う。既報(Hirose, et al., 2013)の通りin vivoでは不死化赤芽球は完全脱核を達成しており、解析により脱核に必要な特性を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不死化赤芽球株の細胞形態異常については、2022年度中の検討によって解決した。一方で赤芽球分化過程において栄養欠乏による分化成熟障害と類似した生体外培養における栄養供給の問題点が新たに明らかになった。さらに、不死化赤芽球株の成熟分化過程にてステップワイズに必要成分が異なることも新たに見出した。従って今後、各分化段階に合わせて複合的な制御が必要であり検討を継続する。 また高マグネシウム環境が不死化赤芽球維持培養において細胞内ヘモグロビン含有量を2倍近く増加させることを発見した。マグネシウム自体は洗浄によって除去され人体への影響は限定的であることから、今後再生医療として不死化赤芽球株の分化成熟システムを構築する際には製造された赤血球の機能亢進や分化成熟期間の短縮などに貢献が期待される。同成果は2023年3月 第22回再生医療学会にて発表した。 赤血球分化を促進する高マグネシウムの効能に関しては、今後のオミクス解析によるヘモグロビン産生のメカニズム解明に繋がる成果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
赤血球分化促進に有用な因子探索を継続し、特に添加量/方法の最適化を実施する。2022年度中に実施した電子顕微鏡的観察とmRNA網羅解析によって培養不死化赤芽球株内には損傷ミトコンドリアが多数存在することが判明した。この機能回復のためミトコンドリア代謝関連の5因子(薬剤等)の検証を継続する(2023年8月を目安)。 さらに最適化条件を物理負荷条件と組み合わせ、細胞生存率/脱核率を高く維持できる外的条件を決定していく。 機械的物理刺激は、高い脱核率と引き換えに低細胞生存率を引き起こしてしまう。今後、改良培地において機械刺激負荷後の生存率が改善しなかった場合には、静置培養による脱核赤血球を対象とした一細胞mRNA網羅解析を再度実施する。改善された栄養状態での遺伝子発現データをもとに、脱核機構について促進/阻害因子の同定を試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)