高精度ナノ-マイクロVO2立体構造支配によるマルチガスセンサ性能の創出
Project/Area Number |
22K14567
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 28030:Nanomaterials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大坂 藍 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (70868299)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 二酸化バナジウム / 金属絶縁体相転移 / 表面処理 / ナノ構造体 / マルチセンサ |
Outline of Research at the Start |
室温近傍で金属絶縁体相転移により巨大な抵抗変化を示す二酸化バナジウム(VO2)はセンサ材料の有力候補である。本研究ではVO2の温度抵抗係数(TCR)の向上と転移点分布の選択制御を実現する。独自技術を駆使し、基板表面性情とVO2ナノ試料形状を精密に制御し相転移特性を決定づける結晶ひずみ量を変調することで、60 Kの温度範囲で相転移点を持ち、TCR=100%/KVO2ナノ-マイクロ集積構造を創製する。
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Outline of Annual Research Achievements |
独自の加工技術を駆使し、二酸化バナジウム(VO2)試料内の内包歪み量を制御することで、マルチセンサ機能創出に与する物性(任意制御された金属絶縁体相転移温度(T_MIT:~10 K幅))の創出を達成した。強相関電子系酸化物であるVO2は温度等の僅かな外部刺激によって金属絶縁体相転移を示し、電気抵抗が~10000倍変化する性質を持つ。こうした性質は物質内にナノ~マイクロメートルサイズで存在する電子相を反応単位としており、電子相毎の物性は内包される歪み量によって規定される。本研究では、VO2試料の内包歪みを下地基板材料の表面状態、およびVO2試料立体構造制御によって制御することによるVO2の転位温度変調を目的としており、本年度は主にSi基板の表面粗さ制御、及びVO2マイクロ立体構造の作り分けに取り組んだ。独自の精密加工技術(化学研磨技術、プラズマCVM(Chemical Vapor Machining)を駆使することで任意領域の表面RMS(root mean square)粗さを0.1 ~23 nmに制御したSi基板の作製に成功した。その上に作製したVO2薄膜ではT_MITが~5 K異なる相転移特性が観察された。また、リソグラフィー技術を駆使して市販TiO2基板上に作製したVO2マイクロ構造試料(試料厚さ:15 nm, 試料長さ:2~10 μm、試料幅:2~10 μm)ではT_MITが~10 K異なる転位特性が観察された。次年度以降、上記成果を組み合わせることで、転移温度幅が300-360 Kと任意の分布を持つVO2ナノ-マイクロ集積構造を実証し、VO2の高感度マルチガスセンサとしての優位性を実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の根幹を成す転移温度制御に関する技術課題は既にクリアしており、本研究課題の最終目的である"VO2の高感度マルチガスセンサとしての優位性実証"を示す基礎的な実験データは取得済であり、すでに転移温度~10 Kが実証されている。VO2作製の基板粗さ制御及び立体構造制御技術を組み合わせることでさらに広域での転移温度制御が可能と期待でき、300~360 Kに任意の転移点を持つVO2試料の作製手法の確立、は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、VO2作製の基板粗さ制御及び立体構造制御技術の組み合わせによるVO2の転移温度制御を推進する。また、VO2試料の内包歪み量と上記パラメータの相関を系統的に評価し、本研究課題の問いである“ナノサイズのVO2が持つ相転移特性の起源は何であり、どのような結晶構造パラメーターが相転移特性を決定づけるか?”を解明するため、表面分析技術を駆使した結晶構造解析を行う計画である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)