Exploration of non-linear magnonics and magnon squeezing by magnetization state tomography
Project/Area Number |
22K14584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日置 友智 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (10898042)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | マグノン / トモグラフィ / スピン流 / 非線形 / パラメトリック発振 / ノイズ / スピントロニクス / スクイージング |
Outline of Research at the Start |
本研究は、磁化の歳差運動が波として伝搬するスピン波とその素励起のマグノンのノイズ分布を制御し、新たなスピントロニクス機能を実験的に創出することを目的とする。 従来のスピントロニクスではマグノンの平均的なダイナミクスを主として取り扱ってきた。このため、マグノンのノイズ分布を制御する基礎物理と技術が待ち望まれていた。本研究では、独自の磁化状態測定手法によりマグノンのノイズ分布を制御・観測して圧搾されたノイズを持つマグノン状態の実現を目指す。マグノンゆらぎの測定が可能な磁化状態トモグラフィ法と非線形発振現象を組みわせることで、新たなスピントロニクス機能を創出することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では微細加工と非線形相互作用により磁気励起状態を操作することで、マグノン状態のノイズ分布を制御し、スピントロニクス機能創出への有益性を実験的に検証することを目的とする。本年度は、マグノンの寿命が長いことで知られるいくつかの磁性体を用いて、微細素子を作成するとともに、マグノンの非線形励起と、その状態制御を行った。 磁性体中のマグノンは、磁化歳差運動の素励起であり、本研究で主要な役割を担う現象である。磁化の歳差運動には磁化そのものが生じる反磁場が反映されるため、強い非線形性を持つことが知られている。例えば、薄膜磁性体を用いると、膜厚方向に生じる強い反磁場に影響されて磁化歳差運動の軌道がゆがみ、磁化の外部磁場方向成分が時間的に振動する。このため、外部磁場と平行な方向の振動磁場を加えると振動磁場の半分の歳差運動を生じる、パラメトリック発振が起こる。この時、発振する歳差運動の位相は、外部振動磁場に対して0かπの二通りのみを取ることが知られている。このためパラメトリック発振では、熱揺らぎのうち、位相0もしくはπを持つ揺らぎだけが選択的に増幅されて、発振に至るダイナミクスを示す。このプロセスはまさにノイズ分布が変調される過程であり、本研究の中核となる非線形過程となっている。 このような非線形相互作用により生じたノイズ分布は、位相空間上の確率分布関数を得ることで観測できる。状態トモグラフィ法は、実験的に対象の系の確率分布関数を取得する手法であり、本研究ではスピン流測定を用いてこれを実現している。 本年度は磁性金属でのパラメトリック発振を直接観測し、ノイズ分布の制御に成功した。反磁場に起因するパラメトリック発振は、磁化の大きさや異方性によって変調されるため、材料ごとに制御性が異なると考えられる。研究では金属磁性体を用いることで、より安定した位相状態の制御が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、マグノンの位相空間上の確率分布関数を取得する磁化状態トモグラフィ法を時間領域に拡張し、過渡過程におけるスクイーズド状態の観測を目指し、次年度以降に定常状態の異方的ノイズ状態を観測する計画としていた。一方で、現在までの研究で時間領域へのトモグラフィ法の拡張は確立されて非自明な揺らぎ状態が観測されたほか、定常状態の異方的ノイズ状態も観測できた。このため、当初の計画以上に早く成果が得られており、大きく進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も引き続き磁化状態トモグラフィ法に基づくノイズ測定により、マグノン状態の制御を試みる。特に熱・量子揺らぎが圧搾された熱・量子スクイーズド状態が、有限サイズの固体素子中で実現すると、高感度測定や集積化された非従来型コンピュータなどへの道筋が開けると期待されている。このような状態の直接測定のためには、測定環境に起因するノイズと、マグノンが生成するノイズのSN比を向上するために、非常に高精度かつ低ノイズな測定で統計的優位を評価できる大規模なデータを取得する必要がある。次年度以降は、大規模実験データの取得を可能にする実験セットアップを構築するとともに、その測定結果を効率的に処理する解析ルーチンを確立し、スクイーズド状態の固体素子中での実現を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)