光量子情報処理のための高速超伝導光子数識別器の研究
Project/Area Number |
22K14615
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三津谷 有貴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70784825)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 超伝導転移端センサ / 光子数識別器 / 光量子情報処理 / 超伝導単一光子検出器 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、単一光子レベルでの測定感度を有する超伝導光子数識別器に関して、その動作速度の高速化に関する研究を実施する。超伝導光子数識別器は光の量子状態を計算に用いる光量子コンピューティングの必須デバイスであり、その高速化は光量子コンピューティングの高速化に直結し実用化に向けた発展に大きく貢献すると考えられる。超伝導光子数識別器は、超伝導転移端センサ型の光子検出器によって実現する。本研究では高速化のための超伝導材料の検討から始め、高い超伝導転移温度を有する検出器によって、従来より一桁高速なものを実現することを目標とする。またセンサの極小化により高い光子数分解能の維持を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、光量子計算の高速化に資する超伝導光子数識別器の高速動作に関する研究を行っている。超伝導光子数識別器は超伝導転移端センサによって構成される。超伝導薄膜として従来のものより転移温度の高いものを採用し、また、超伝導・常伝導の二重薄膜による近接効果によって転移温度を所望の値に制御することで、目標とする通信波長帯の光に対して十分なエネルギー分解能を持たせながらも、高速な信号減衰時間を達成できるデバイスとしての両立を目指している。 昨年度は、モリブデン(超伝導体)と金(常伝導体)の二重薄膜のパラメータ設計を行い、また、成膜装置を用いてそれぞれの成膜レートを算出し、所望のパラメータを持つ二重薄膜を作成する条件を求めた。 今年度は、昨年度の結果に基づいて、まずモリブデン・金の二重薄膜を実際に作成した。実際に作成した二重薄膜を冷凍機内に設置し冷却し、四端子法による測定によって抵抗値測定を実施し、超伝導に転移することを確認した。次に、モリブデン・金の二重薄膜を用いて、これを有感領域として持つ超伝導転移端センサとしての開発を実施し、光子検出の実験を実施することに取り組んだ。これを極低温冷凍機によって100mKほどに冷却し、冷凍機内に配線した光ファイバを通じて1.5μmの波長のパルスレーザーを照射した。その結果、レーザー照射に伴うTESの信号を観測することに成功した。これによって、原理的な動作実証を行うことができた。一方で、検出器の動作に発振が見られ、安定動作には課題があった。これはセンサ作製の微細加工プロセスにおける問題があり、そこに改善が必要である可能性が高い。したがって次年度は、微細加工プロセスを実施し、検出器の安定動作を実現し、単一光子レベルの光強度での動作実証を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、実際に作成した二重薄膜の超伝導転移を確認し、また、超伝導転移端センサとしての作製を行って、外部からのレーザー照射による応答信号を観測することに成功した。検出器動作の安定性には課題が残っており、これに関しては次年度に改善に取り組む。 以上より、当初予定に対して概ね順調に進捗していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、研究計画にしたがって研究を実施する。 当該年度の研究によって、二重薄膜の超伝導転移を確認し、また、超伝導転移端センサとしての検出器としての動作確認を行うことができた。しかしながら、検出器動作の安定性に課題があった。これは、微細加工プロセスに問題があった可能性が高いと考えられる。 したがって次年度では、微細加工プロセスの改良に取り組み、検出器の改良に取り組む。これによって再度冷凍機における冷却およびレーザー照射の試験を実施し、検出器の性能評価を実施する。 得られた研究成果は、学術論文等にて発表を行う予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)