Project/Area Number |
22K14616
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
織茂 悠貴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90898818)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | 第一原理計算 / 強レーザーパルス / 波動関数理論 / 高強度レーザー / 分子ダイナミクス |
Outline of Research at the Start |
分子に高強度フェムト秒レーザーパルスやアト秒光パルスに照射すると、レーザー光から電子へ、電子から原子核へのエネルギーが伝わり、複雑な分子ダイナミクス(解離や構造変化)が引き起こされる。本研究は、このような電子と核が相関した分子ダイナミクスを正確に扱える新しい実時間第一原理シミュレータを開発し、レーザー場中の分子の振る舞いを明らかにしようとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高強度・超高速レーザーパルス下の核-電子が相関した分子ダイナミクスの第一原理計算を実現することを目的として、核-電子相関ダイナミクスを現実的な計算コストで扱える波動関数理論の開発と数値シミュレーションのための実装を行うものである。 本年度はTD-CASSCF法とDD-vMCG法を融合した分子のための波動関数理論の開発を主に行った。TD-CASSCF法は時間的に状態が変化しないコア電子とアクティブ電子の導入により多電子波動関数を効率良く計算するための時間依存波動関数理論であり、DD-vMCG法は核-電子波動関数を多次元ガウス関数により記述した核波動関数と電子の定常状態波動関数の直積の重ね合わせで記述する理論である。DD-vMCG法の電子波動関数部分を単純にTD-CASSCF波動関数に置き換えることで、2つの理論の統合が行えるが、核が運動する場合を考えると、TD-CASSCF法のコア電子の状態が一切変化できないのは物理的に不自然である。そこで、核波動関数の運動に合わせて、コア電子波動関数の中心位置を新たに自由度として加えたAnsatzを構築した。これによって核に追随して運動するコア電子+自由に運動できるアクティブ電子という描像を持つ波動関数モデルを開発することができた。 また核-電子間の相互作用であるクーロンポテンシャルは特異点を持ち、数値計算では非常に扱いづらい。これを特異点がなく、なめらかなポテンシャルであるerfgauポテンシャルに置き換えることで、基底状態計算はコストを下げながら精度の良いシミュレーションが可能であることが知られていたが、本研究ではそれを激しいイオン化や励起を伴う時間発展計算にも応用可能であることを実証した。これは本研究がターゲットとする第一原理計算の計算コストを軽減する手法の一つとなり得る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では初年度に分子のための波動関数理論の開発とその実装としたが、本年度は理論の開発と電子波動関数に関する実装及び計算コストを緩和するための手法開発を行った。核-電子波動関数に関する実装は未達成だが、一方で次年度以降に計画していたシミュレーション時間を大幅に軽減する手法を開発できたため、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は核-電子相関波動関数をシミュレーションするソフトウェアの実装を中心に進める。シミュレーションを行えるようになった段階で、開発した波動関数理論の精度や柔軟性について慎重に検証し、理論の応用範囲を見定める予定である。 核波動関数及びコア電子波動関数はそれぞれの核配置について直交でないため、時間発展計算が不安定となることが想定される課題として挙げられる。これについては、必要に応じてプロパゲータを工夫し、安定な時間発展を行えるようにする。
|