Project/Area Number |
22K14635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 31020:Earth resource engineering, Energy sciences-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤山 和貴 京都大学, 理学研究科, 助教 (10936991)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | デジタル岩石物理 / 岩石物理モデル / 地熱 / 浸透率 / 電気比抵抗 / 弾性波速度 / 有限体積法 / 境界要素法 / 格子ボルツマン法 |
Outline of Research at the Start |
電気比抵抗や弾性波速度といった岩石物性値は,岩石の内部構造に感度を持つことが知られている。本研究では,これらの物性値を手がかりに岩石亀裂内の流体流動挙動を解明するモデルを確立し,フィールド観測結果との対比によって実際の地下亀裂における浸透率変化の定量評価を目指す。スケールの異なる実験と数値解析を通して,実験室サイズの亀裂からフィールド規模の断層までのマルチスケールで亀裂内流動現象を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,地熱貯留層をはじめとした地下亀裂内の流体流動挙動を明らかにするべく,浸透率変化を地上観測可能な岩石物性値と関係付けるモデルを開発することを目的としている。本年度は,一連のデジタル岩石物理シミュレーション手法をアップデートし,亀裂のサイズ・粗さ・せん断変位をコントロールした数値亀裂に対して,アスペリティの変形・流体流動・電気伝導・応力-ひずみ解析を同時に実現した。その結果,浸透率・電気比抵抗・弾性波速度はそれぞれ亀裂のサイズ・粗さ・せん断変位によって変化することが明らかとなった。さらに浸透率-比抵抗関係を見ていくと,両者の関係はこれらの特性に依存せずに定式化が可能であることが示された。ミクロな流路の追跡によって,亀裂空隙率と電気比抵抗の関係(Archieの経験式)が流路の連結度および屈曲度に支配されることが定量的に明らかとなり,流路が連結している場合においては,亀裂岩体においてもArchieの一意のパラメーターで表現できることが確認できた。本研究で明らかにした浸透率-比抵抗関係式は,等価流路モデルとArchieの膠結係数から推測可能であることから,浸透率が未知のフィールドにおいても,空隙率と比抵抗のデータから浸透率推定に繋げられる可能性が新たに示唆された。また亀裂のサイズや粗さ・せん断変位に依らずに適用可能であると言うことは,様々なフィールドにおいて普遍的な解釈に活用できることが期待される。一方,弾性波速度の場合は,亀裂のサイズ・粗さ・せん断変位によって浸透率との関係式も変わり,接触点(アスペリティ)の面積とサイズ分布が影響していることが明らかとなったが,アスペリティサイズの自己相関距離でスケーリングをとることで,浸透率との関係に関するスケール則を導くことができた。さらに,これら一連のシミュレーション成果を実験室で確認する実験設備のセットアップとテストが完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では実験も併用して行う予定であったが,所属機関変更により実験室立ち上げに時間を要することから,シミュレーション手法の構築を前倒しして実施した。その結果,最終年度に実施予定であったアスペリティの変形を模擬する境界要素法と大規模流体流動・電気伝導シミュレーションを可能とする有限体積法のいずれも実装することができ,想定以上の進展があった。来年度実施予定であったアメリカでの本実験もセットアップも完了し,亀裂内流路をX線CTで可視化しながら同時に電気比抵抗・弾性波速度・浸透率を測定するシステムが滞りなく準備できたため,予定より早く実験成果が得られることが期待される。さらに所属機関における岩石物性同時測定システムも年度中に立ち上げられただけでなく,当初サブテーマとして予定していた機械学習を利用したアプローチからも予想以上に大きな成果が得られた。これら一連の研究成果を5本の主著論文として投稿することができたことからも,計画以上の進展が得られていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のシミュレーション研究成果や,アメリカでの研究打ち合わせ及び予備実験の結果をもとに,亀裂内流路をX線CTで可視化しながら同時に電気比抵抗・弾性波速度・浸透率を測定するシステムで本実験を行う。この実験システムを用いて,地熱開発テストフィールドで実際に掘削された岩石亀裂試料の物性変化を測定する。X線CTの観察結果から,シミュレーション結果をベースに構築した浸透率-比抵抗,浸透率-弾性波速度関係式の適用可能性と,屈曲度やアスペリティサイズといったミクロな構造変化を実際の岩石亀裂で確認する。CT画像に対する機械学習を利用したプロセッシングも今年度実装できたため,これを応用して,ミクロスケールの構造変化とマクロスケールの物性変化の関連を実験室とシミュレーションから精緻に明らかにする。さらにフィールドテストで得られた注水中の電気比抵抗・地震波速度のモニタリング結果との比較し,両者のスケールをつなぐ岩石物理モデルの適用可能性を評価する。
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