Project/Area Number |
22K14641
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今枝 佳祐 北海道大学, 理学研究院, 助教 (30754717)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 金属ナノ構造 / プラズモン / 近接場増強 / 時間分解測定 / 時間分解計測 |
Outline of Research at the Start |
サブ波長スケールの金属ナノ構造は,光を時間的・空間的に捕集する光アンテナとして駆動するため光エネルギー変換材料として有望である。金属ナノ粒子を光アンテナとして実用化するためには,空間および時間領域における光捕集効率を向上させることが不可欠である。空間的な光捕集効率はナノ粒子の形状を制御することで向上させることができるが,時間的な光捕集効率を向上させた研究例は極めて少なく,その学術的な追及が未だ大きな課題となっている。本研究では,光学禁制な励起状態を利用することで時間的な光捕集効率を向上させ,従来よりも高性能な光アンテナを実現することを目標とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
金属ナノ構造は,光エネルギーを空間的・時間的に閉じ込める光アンテナとして機能する。本研究では,より高効率な光アンテナを実現するために,時間領域における光閉じ込め機能の向上を目指す。これまでに,周期配列金属ナノ構造や金属ナノ構造とフォトニック結晶とのカップリング系を構築することで,時間領域における光閉じ込め機能を向上でききることを時間分解計測および電磁気学計算により実証してきた。 2023年度では,原子層物質である遷移金属ダイカルコゲナイドと金属ナノ構造のカップリング系を作製し,プラズモンとエキシトンとの相互作用を誘起することで金属ナノ構造における時間的な光閉じ込め機能を向上させる研究に取り組んだ。化学気相成長により合成した遷移金属ダイカルコゲナイド上に金ナノ構造を作製することでカップリング系を構築した。線形・非線形スペクトル測定により,金ナノ構造のプラズモン共鳴帯に特徴的な変調が観測されること,この変調がファノ共鳴に起因することを明らかにした。また,時間分解計測により遷移金属ダイカルコゲナイド上において金ナノ構造のプラズモン共鳴の長寿命化が確認できた。これらの結果は,プラズモンとエキシトンの電磁的な相互作用により長寿命な光学禁制モードが励起できることを示唆しており,遷移金属ダイカルコゲナイドと金ナノ構造のカップリング系が光アンテナ機能の向上に活用できることが示された。今後,金ナノ構造と遷移金属ダイカルコゲナイドの幾何配置を最適化することで,プラズモン共鳴の更なる長寿命化やプラズモン-エキシトン強結合状態の形成を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遷移金属ダイカルコゲナイドと金属ナノ構造のカップリング系において,エキシトンとプラズモンの相互作用により光学禁制なモードが誘起されることを確認した。さらに,時間分解計測により光学禁制モードが許容モードよりも長寿命であることも明らかにした。これらの成果は,本研究の目的である光学禁制なプラズモン共鳴により,時間領域から金属ナノ構造の光捕集機能を向上できることを示すものである。以上のように,当初の計画通りに時間的な金属ナノ構造の光捕集機能の向上に成功していることから,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
遷移金属ダイカルコゲナイドと金属ナノ構造とのカップリング系において,プラズモン共鳴の長寿命化を実証できてはいるが,その効果は限定的であり,近接場増強度の評価には至っていない。そこで,2024年度は,金ナノ構造の形状や遷移金属ダイカルコゲナイドの配置を最適化することで,光学禁制モードの励起確率の向上および更なる長寿命化を目指す。また,第二次高調波や二光子発光などの非線形光学信号の強度や励起スペクトル幅から,光学禁制モードの近接場増強度およびQ値を評価する計画である。
|