Project/Area Number |
22K14642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
奥津 賢一 学習院大学, 理学部, 助教 (00838568)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 装置開発 / ミュオン / ミュオン触媒核融合 / 固体水素標的 / 荷電粒子輸送 / 再生ミュオン |
Outline of Research at the Start |
素粒子の一つである負ミュオンは負の電荷を持ち、電子の約207倍重い粒子である。このことから重い電子のように振舞い、原子や分子の電子と入れ替わることでミュオン原子やミュオン分子を生成する。特に水素同位体間の核反応をミュオン分子の形成を経て手助けするものとしてミュオン触媒核融合(μCF)として知られているが、人工的に生成できるミュオン数の不足に加えて、エネルギーとして取り出す方法に目途が立っていないことなどから、反応機構の詳細な解析が喫緊の課題となっている。本研究ではμCF反応素過程を解明することを目的に反応の中でも重要である触媒反応機構に着目し、核反応後に放出されるミュオンの観測を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
素粒子の一つである負ミュオンは負の電荷を持ち、電子の約207倍重い粒子である。このことから重い電子のように振舞い、原子や分子の電子と入れ替わることでミュオン原子やミュオン分子を生成する。特に水素同位体間の核反応をミュオン分子の形成を経て手助けするものとしてミュオン触媒核融合(μCF)として知られているが、人工的に生成できるミュオン数の不足に加えて、エネルギーとして取り出す方法に目途が立っていないことなどから、反応機構の詳細な解析が喫緊の課題となっている。本研究ではμCF反応素過程を解明することを目的に反応の中でも重要である触媒反応機構に着目し、核反応後に放出されるミュオンの観測を目指す。 本研究で着目しているミュオン触媒核融合(μCF)反応後に放出される再生ミュオンは反応を手助けすることからその反応効率は反応サイクル全体の理解には不可欠であり、またその運動エネルギー分布(KED)はミュオン分子軌道の情報を反映していることから量子化学的にも非常に興味深い。しかし再生ミュオンはこれまで直接観測はできておらず、ヘリウム原子核に吸着して反応サイクルから離脱したものを間接的に観測するに留まっており、直接観測ができれば非常に大きなインパクトがある。 これまでシミュレーションにより同軸輸送管を用いたミュオンの引き出しの最適化、引き出すための部品の冷却試験を進め、最大の懸念であった固体水素標的への影響の評価を行った。本年度においては再生ミュオンの引き出しにおいて重要な役割を果たす同軸輸送管に技術をより盤石にするべく実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに同軸輸送管のシミュレーション、設計、試作等を進めており、固体水素標的との両立に影響がないかなどの冷却試験を進めた。結果、固体水素標的に昇温などの影響は軽微であることが確認された。 これまでのシミュレーションの結果を踏まえて行った実験結果の解析を進めており、検出用金属までミュオンが高確率で到達していると考えられる結果が得られた。この結果についてそれが再生ミュオンであったのか、それとも散乱されたミュオンなのかを慎重に解析を進めている。 また、再生ミュオン検出の際に抑制したい制動放射線の見積りもシミュレーションにより進めており、効率的な制動放射線の遮蔽方法の検討も進めている。特に同軸輸送管の利用においては輸送管内部に遮蔽を設置できない。原則として長距離を同軸輸送管で輸送することによる制動放射線を低減を狙うが効率的な遮蔽も必要であり、同軸輸送管を使用した実験の実施を通じてより効率的な遮蔽環境における実験条件を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施したミュオン触媒核融合により得られる再生ミュオンに関する実験結果の解析を進める。実験手法上、ミュオン触媒核融合由来の再生ミュオンと散乱、減速されたミュオンを区別はできないことから、検出用標的まで輸送されたまたは飛行したとみられるミュオンが再生ミュオンであるかについて慎重に解析を進める。 また所属機関の変更はあったものの、大強度陽子加速器施設J-PARCにおける実験参加も継続しており、今後も必要な加速器実験に参加しながらよりミュオン触媒核融合、極低温標的、同軸輸送管に関する実験を進める。
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