金属配位子協働作用によるアルカンC-C結合の切断と触媒的変換
Project/Area Number |
22K14678
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 遼 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30835731)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | C-H結合活性化 / C-C結合活性化 / ピンサー配位子 / 配位子協働作用 / 炭素炭素結合切断 |
Outline of Research at the Start |
アルカンのC-C単結合は極めて安定な結合であるが、その選択的な切断反応が実現されれば、有機分子逆合成経路の新規開拓や枯渇しゆく炭素資源の効率的変換に繋がることが期待される。本研究はそのアルカンC-C単結合の選択的切断を金属配位子協働触媒作用によって実現することを目指す。実際に本手法を開拓する際には、有機金属化学・典型元素化学・計算化学の最先端の知見を活用することでその目的を達成する計画である。
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Outline of Annual Research Achievements |
アルカンのC-C単結合は極めて安定な結合であるが、その選択的な切断反応が実現されれば、有機分子逆合成経路の新規開拓や枯渇しゆく炭素資源の効率的変換に繋がることが期待される。本研究はそのアルカンC-C単結合の選択的切断を金属配位子協働触媒作用によって実現することを目指す。 初年度は反応条件の最適化、機構の解明、配位子構造の最適化、さらに各種金属の比較検討を行った。条件最適化により、モデル基質C-C切断の触媒回転数は1000程度まで向上した。反応機構に関しては隣接基の求電子性を阻害する反応剤を添加するコントロール実験によって、隣接基関与の必要性を立証した。量子化学計算によりβ-炭素脱離の関与が示唆されている。また配位子構造の最適化としてリンカー原子の最適化を行い、炭素・窒素・酸素・硫黄等の各種原子効果の比較を行った。更にIrに加えCo・Ru・Rh・Os等の金属錯体の合成にも成功した。特にRu錯体はC-H結合活性化等に高い活性を示しC-C切断活性も有することがわかっている。 また、リンカー原子の最適化検討で得られた知見を応用し、既存のフェニルアニオンを中心とするPCPピンサー配位子へのアリールナイトレンリンカー導入の検討を行った。得られたPNCNPピンサーIr錯体はN上アリール基のもたらす立体効果により中心金属上が非常に込み合っており、またアリール基上置換基の電子効果が効果的にIr上へ伝搬していることが明らかになった。PCPおよびPOCOPピンサーIr錯体はアルカンの移動脱水素を150-200度で触媒することが知られる。今回合成したPNCNPピンサーIr錯体は立体効果により生成物であるアルケンの配位による阻害をうけにくいため、50度という低温条件でもアルカンの移動脱水素化を触媒することが可能であった。アルカン移動脱水素化を伴うタンデム反応への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画時の検討事項であった、反応条件の最適化、機構の解明、配位子構造の最適化、さらに各種金属の比較検討が順調に推移している。特にC-H結合活性化能の乏しいCoを用いた錯体合成は困難が予測されていたため特筆すべきである。また、Ru錯体は他の反応にも高い活性を示すことが見いだされており、提案した配位子の本反応に留まらない幅広い応用を強く示唆する。リンカー原子の最適化検討で得られた知見も既存ピンサー系への応用展開につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き反応条件の最適化、機構の解明、配位子構造の最適化、さらに各種金属の比較検討を継続し、隣接基関与によるC-C単結合切断の原理確立を目指す。さらに、応用例としてモデル基質のみならず、ポリオレフィンの分解反応への適用も試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)