Project/Area Number |
22K14693
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湊 拓生 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (50902475)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | ポリオキソメタレート / 電子伝達体 / 酵素 / 触媒 |
Outline of Research at the Start |
極めて高い光学純度を要する不斉合成や多電子酸化還元を伴う安定有機化合物の官能基変換などの高難度触媒反応は医薬品合成や環境問題解決における鍵反応である。電子伝達体依存型酵素はこれらの反応を可能とする一方で、量論量の廃棄物生成や収率の低下が問題となっていた。酸素や水素を用いて電子伝達体の酸化還元再生ができれば廃棄物が水のみで原子効率が高い触媒システムの構築が可能であると考え、本研究では、タンパク質との親和性が高く原子レベルでの構造制御が可能な分子状金属酸化物クラスター (POM)に着目し、高度に設計されたPOM触媒と酵素を複合化させることにより、従来の欠点を克服した新規環境調和型触媒の開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
極めて高い光学純度を要する不斉合成や多電子酸化還元を伴う安定有機化合物の官能基変換などの高難度触媒反応は医薬品合成や環境問題解決における鍵反応である。電子伝達体依存型酵素はこれらの反応を可能とする一方で、量論量の廃棄物生成や収率の低下が問題となっていた。そこで申請者は酸素や水素を用いて電子伝達体の酸化還元再生ができれば、廃棄物が水のみで原子効率が高い触媒システムの構築が可能であると考えた。本研究では、タンパク質との親和性が高く原子レベルでの構造制御が可能な分子状金属酸化物クラスター (POM)に着目し、高度に設計されたPOM触媒と酵素を複合化させることにより、従来の欠点を克服し た新規環境調和型触媒の開発を行う。 大きな欠損部位を有する欠損型POMと有機リン酸配位子を反応させたところ、新規有機無機ハイブリッド材料の合成に成功した。合成した新規構造は単結晶X線構造解析により構造を明らかにすることができ、金属が導入可能な欠損部位を残したまま2つの配位子が導入されていることが分かった。一方で溶液中では容易に配位子が脱離するため、今回用いた多欠損型POMは電子伝達体などリン酸基を有する基質を活性化させるために有用な鋳型として利用できることが示唆された。今後は、現在進めている細胞からの酵素単離、生化学的・構造学的分析や、異種金属多核構造の酸化還元特性・触媒特性の分析を引き続き行い、酵素とPOM触媒を融合させた高活性な環境調和型触媒の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電子伝達体の欠損部位への配位を目指して有機リン酸配位子と多欠損型POMを反応させたところ、配位子が2つ導入された新規構造を合成することができた。6欠損型ポリオキソメタレートは縮合や異性化により配位子の導入と単離が困難であると考えられていたが、本研究で初めて構造を明らかにすることに成功した。さらに、NAD+などの電子伝達体も有機リン酸配位子と類似したリン酸基を有しているため、欠損型POMと反応させたところ、アニオン骨格の異性化を伴わずに電子伝達体が配位したことがNMRなどから示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は電子伝達体を配位させた有機無機ハイブリッド構造に活性点となる金属を導入し触媒を合成することを目標とする。そのうえで、タンパク質単離技術と精密無機合成技術を融合させることによって、酵素と触媒を複合化させ、水素や酸素を還元剤/酸化剤とした廃棄物が水のみの高難度触媒反応達成を目指す。
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