Project/Area Number |
22K14725
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 35010:Polymer chemistry-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 俊介 京都大学, 工学研究科, 助教 (90911503)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | ホスト–ゲスト化学 / 高分子化学 / 環状分子 / ホスト-ゲスト化学 / ホスト-ゲスト相互作用 / 高分子材料 / 協同効果 / 分子認識 |
Outline of Research at the Start |
環状化合物は空孔内部にゲスト分子を取り込むことができるため、選択的な物質貯蔵や分離・精製に利用することができる。これらの環状化合物は、高分子化により成形加工性・安定性の向上が達成された一方、高分子鎖上で環骨格が連続することで、新たな機能性や性質を示した例は極めて少ない。これは、高分子化された環状化合物の多くが、回転可能な単結合によって連結されるため、環構造の向きや位置関係が定まらず、それぞれが独立して作用したことに由来する。本研究では、環構造を二本の高分子鎖で連結することで回転を抑制し、環構造の向きが揃った状態で固定することで、低分子では見られない、高分子に特有の性質を見出す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環構造を二本の高分子鎖で連結することで回転を抑制し、環構造の向きが揃った状態で固定することで、低分子では見られない、高分子に特有の性質を見出す(高分子効果)。例えば、複数の環がゲスト分子の包接に関与することで、ホスト-ゲスト間の相互作用が増強されるといった『協同効果』の発現が期待される。本研究は、環状ホスト分子の『協同性』に基づいた、新たな機能性・性質の獲得を目指すものである。 本年度は、結晶状態において重合可能な置換基を導入した環状モノマーを合成し、結晶構造中の規則的な配列を利用することで、環構造の規則性が揃った高分子材料の合成に取り組んだ。目的とする正六角形型の環状モノマーは良好な収率で合成することに成功した。この環状モノマーを再結晶することによって、結晶性のサンプルを得ることができた。粉末X線回折測定の結果、このモノマーは層状に並んだ構造を持つことがわかり、重合官能基同士が近接していることが示唆された。実際に、このサンプルを加熱すると重合反応が進行し、有機溶媒に対して不溶化することがわかった。重合の進行は、拡散反射スペクトル測定、フーリエ変換赤外分光法による分析から確認した。粉末X線回折測定の結果、結晶性は低下したものの、重合後も結晶性を維持していることがわかった。また、同じ重合性官能基を導入した正五角形型の環状モノマーについては層状に並んでおらず、環状モノマーの構造がモノマーを規則的に配列させるために重要な役割を示すことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたモノマーでは重合反応が進行せず、モノマーの再設計を余儀なくされ、本年中に行う予定であった、規則的に配列した高分子の物性評価を行うことができなかった。一方で、モノマーを再設計し、結晶状態において重合反応が進行するように分子設計を行ったところ、重合反応が効率的に進行することが明らかになり、今後の研究の加速が予感された。
|
Strategy for Future Research Activity |
重合反応が良好に進行することは確認できた一方で、重合後の結晶性低下が観測された。これは、熱による重合により一部構造に乱れが生じたためであると考えられる。今後は、光照射による重合反応を試す予定である。そのため、固相での光重合に適した単結晶性のサンプルの作製を目指し、モノマー分子の再設計を行う予定である。
|