Project/Area Number |
22K14768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
稲本 純一 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (20816087)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | リチウムイオン電池 / リチウム過剰型正極材料 / 導電助剤炭素材料 / 劣化機構 / 表面分析 / 第一原理計算 / 活性化エネルギー / 界面イオン移動 / 炭素材料 / 正極 / 長寿命化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では次世代リチウムイオン電池の長寿命化を達成するため、その正極合剤電極に導電助剤として用いられる炭素材料の劣化メカニズムの詳細な解析を行う。炭素材料表面で想定される劣化メカニズムとしては、高電位での電気化学的酸化や活物質から放出される一重項酸素による化学的酸化が想定されることから、炭素基板上に正極活物質を蒸着したモデル電極で炭素材料の酸化劣化を調べる。炭素材料内部で想定される劣化メカニズムとしてはアニオン挿入による構造破壊であり、様々な異なるパラメータを有する炭素材料を用いてそのアニオン挿入反応に影響を与えるパラメータを抽出し、その劣化抑制を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
次世代リチウムイオン電池用の高エネルギー密度正極活物質としてハイニッケル系材料やリチウム過剰型材料が期待されている。これらの作動電位は従来材料より高いため電極全体の性能低下に繋がる導電助剤炭素材料の劣化が起こりやすい。炭素材料の表面では高電位での電気化学的酸化とこれらの活物質から放出される一重項酸素による化学的酸化が、内部では電解質アニオンの挿入による構造劣化が起こると考えられる。しかし、特に一重項酸素による炭素材料の酸化挙動や、アニオン挿入に影響を与える結晶性以外の炭素材料の因子はこれまで明らかにされていない。本研究ではこれらを基礎的に明らかにすることで、次世代リチ ウムイオン電池での導電助剤の劣化抑制のための指針を得ることを目指した。本年度は主にリチウム過剰型正極材料から発生する一重項酸素による炭素材料の酸化劣化挙動に着目して研究を行った。HOPGを基板としてその表面にリチウム過剰型材料をPLD法により蒸着した電極をモデル電極として用いて、その高電位での定電位保持前後でのHOPGの表面近傍の酸素量の変化を調べた。その結果、蒸着をしていないHOPGのみを定電位保持試験した後では、XPSの結果より含酸素量が変化しなかった一方で、蒸着をしたHOPGでは酸素量の増加が認められた。またArエッチングを行ったところ、比較的内部の領域でも酸素の存在が認められた。このことから、一重項酸素が炭素材料の酸化劣化を引き起こす可能性が示唆された。今後は一重項酸素を放出しない正極材料についても同様の検討を行い、炭素材料の酸化に与える一重項酸素の影響についてより詳しく調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説通り、リチウム過剰型正極材料から発生する一重項酸素が導電助剤炭素材料の酸化劣化を引き起こす可能性を明らかにした。一方で、モデル電極の作製方法や対照実験の条件設定等について当初の予想よりも時間がかかってしまったこともあり、議論の信頼性を上げるための追加の実験まで十分には手が回らなかった。今後は対照実験等も行うことで議論の精密性を上げることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はより議論を強固にするための対照実験を行い、一重項酸素が炭素材料の酸化劣化に与える影響についてより明確にする。また、前年度までに得られた炭素材料へのアニオン挿入による劣化機構について得られた知見も組み合わせながら、導電助剤炭素材料の劣化メカニズムについて総合的な考察を行う。
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