Project/Area Number |
22K14796
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中嶋 裕子 (近藤裕子) 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (20634760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 環状mRNA / タンパク質翻訳 / 核酸プローブ |
Outline of Research at the Start |
メッセンジャーRNA(mRNA)医薬は、mRNA を直接体内に投与して、タンパク質を細胞の中で作り出す治療法であり、発がん等の危険性もない安全な遺伝子治療薬として期待が高まっている。環状RNA は、末端構造を持たないはじめと終わりのない構造を持ち、その構造の特性から、直鎖状RNA と比べて生体内で非常に高い安定性を有する。本研究では、翻訳反応の鋳型として環状RNA に着目し、その翻訳活性を向上させることを目的とする。化学的に合成した核酸プローブを用いて翻訳反応の促進を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
RNA医薬は、標的タンパク質の情報をコードしたmRNAを合成し、投与することで、生体内で標的タンパク質を産生させ、治療や予防に使用する医薬品である。2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンが緊急承認され、世界で初めてmRNA医薬が実用化した。mRNA医薬は、ワクチン以外にもタンパク質補充療法として、難治性の疾患の治療訳としても注目されている。 mRNA医薬の課題の一つに、生体内での安定性があげられる。mRNAは、生体内で、核酸分解酵素により速やかに分解されてしまう。そこで、申請者は、環状構造のmRNAに着目して研究を進めた。環状mRNAは、末端をもたない構造であることから生体内での安定性が高いと報告されている。真核生物における環状RNAの翻訳活性は、キャップ構造を有しないことから、直鎖状mRNAに比べて低い。申請者は、これまでに核酸プローブを結合させることにより環状RNAの翻訳活性を向上できることを見出した。23年度は、標的mRNAに対して核酸プローブを結合させる位置と長さの検討を行った。また、標的mRNAから終止コドンを除いた環状mRNAを合成し、回転式翻訳現象の活性を向上させることを試みた。その結果、プローブの結合位置は、開始コドンの100塩基上流が最も効果が高かった。また、予想に反して、開始コドンの下流の位置でも活性の向上が見られた。回転式翻訳反応に核酸プローブを用いた結果、高分子のタンパク質の合成量の産生が増加することを見出した。本機構では、リボソームによる翻訳反応が複数回転して高分子のタンパク質ができると考えられるため、結合したプローブは、2回転目では解離していることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、環状mRNAとプローブの結合位置の最適化および、回転式翻訳現象への応用を到達目標として、研究を遂行した。回転式翻訳現象に用いた環状mRNAは、これまでに実績のあるFLAG配列を有する系を選択し、ウエスタンブロッティングにより検出した。環状RNAに結合させる短いRNAは、化学合成により調製し、化学的にキャップ化した。環状RNAへのプローブの結合位置は、開始コドンの上流の100塩基、50塩基、20塩基、下流の20塩基部分を試した。その結果、開始コドンから最も離れた位置にプローブを結合させたとき、翻訳活性向上効果が最も高かった。また、開始コドンの下流に結合させても活性の向上効果が得られた。結合させる塩基長は20, 30, 40塩基を検討した。その結果、長いほど高い効果が得られることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一つ目には、環状RNAを効率よく合成・精製する手法を検討する。これまで直鎖mRNAを転写反応により合成し、RNA連結酵素により環化している。しかしながら比較的短いmRNAの環化する反応は、酵素により6割の効率で環化できた。しかしながら、mRNAは、1000塩基を超える長さのものが多く、高次構造を形成することから、環化反応が難しくなることがわかってきた。今後は、スプライシングを利用した環化反応も検討する。 二つ目には、複数のターゲット配列を検討する。これまでは、ナノルシフェラーゼをコードする環状RNAに対する核酸プローブの最適化を行ってきた。Luc2、GFP、mCherryなど他の配列にたいしても本プローブが有効であるかを検討するとともに、結合させるUTRの配列や長さについても検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)