食餌による腸管粘膜免疫調節における遺伝子サイレンシングの役割
Project/Area Number |
22K14840
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
逢坂 文那 北海道大学, 農学研究院, 助教 (90908485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | microRNA / 腸内細菌叢 / 遺伝子サイレンシング / リンパ球 / 腸管免疫 |
Outline of Research at the Start |
食餌が腸管粘膜免疫の調節に影響を及ぼす際の細胞分子機序については不明な点が多い。申請者はこれまで、腸管粘膜免疫調節における遺伝子サイレンシングの役割に着目し、腸内細菌叢の存在が、マウスの大腸粘膜固有層白血球において、microRNA(miRNA)による遺伝子サイレンシングを介してインターロイキン2の産生を制御することを明らかにした。そこで本研究では、同様の遺伝子サイレンシングが食餌による腸管粘膜免疫調節にも役割を担うと考え、腸管粘膜免疫調節に影響を及ぼすことが知られている食餌要因として難消化性オリゴ糖および高脂肪食に焦点を当て、miRNAによる遺伝子サイレンシングの寄与を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、昨年度に引き続き「食餌による腸管粘膜免疫調節にmicroRNAによる遺伝子サイレンシングが寄与するのか」という仮説を立て、以下のように検証を進めた。 1)高脂肪食による大腸粘膜固有層白血球におけるmiR-20a-5p発現の変化、および標的遺伝子であるNr4a3の発現変化が腸内細菌叢を介するかどうかを明らかにするため、高脂肪食を摂取したマウスの糞便を抗生剤投与マウスに経口投与した。その結果、miR-20a-5pの発現増加、およびNr4a3 mRNAレベルの発現低下は観察されなかった。 2)高脂肪食摂取によるmiR-20a-5pの発現増加に腸内細菌叢が関与するかどうかをさらに確かめるため、高脂肪食を摂取したマウスの腸内細菌叢解析および腸内細菌とmiR-20a-5pの相関解析を行った。LEfSE、ANCOM解析により、高脂肪食摂取マウスではRomboutsia属が有意に増加することを見出した。さらには、Romboutsia属とmiR-20a-5pの発現レベルに正の相関が認められた。今後は、マウスへのRomboutsia属の単菌投与がmiR-20a-5pの発現に与える影響について解析する予定である。 3)高脂肪食摂取による制御性T細胞(Treg)の減少にmiR-20a-5pによる遺伝子サイレンシングが関与するかどうかを、マウスTリンパ腫細胞株であるEL-4細胞に合成miR-20a mimicを導入することにより確かめた。ネガティブコントロールと比較してmiR-20a mimic導入細胞では、miR-20a-5pの発現増加およびNr4a3 mRNAレベルの発現低下を確認した。今後は、Tregの分化レベルをフローサイトメトリーおよびウエスタンブロットにより解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、大腸LPLへ当該miRNAを導入することにより、1)難消化性オリゴ糖摂取によって刺激される大腸LPLにおけるT細胞活性化にmiRNAによる遺伝子サイレンシングが関与するか、2)高脂肪食によって増加するmiRNAの標的遺伝子の発現抑制が大腸LPLにおけるTregの減少につながるか、について証明する予定であった。しかしながら、前年度にも報告したように大腸LPLへの遺伝子導入が困難であるため実現には至らなかった。難消化性オリゴ糖の摂取によるmiRNAの発現プロファイル変化についての結果の一部は既に論文発表済みである(Ohsaka et al. 2023 JNSV)。一方で、マウスTリンパ細胞株であるEL-4細胞にmiR-20a mimicの導入、および標的遺伝子であるNr4a3のmRNAレベルの発現低下を確認した。 また、3)高脂肪食摂取がマウス大腸LPLにおけるmiR-20a-5pの発現を増加させるメカニズムを明らかにするために、マウスから分離した大腸LPLおよびEL-4細胞にコール酸あるいはデオキシコール酸を添加した。しかしながら、Treg誘導条件下におけるmiR-20a-5pの発現増加は認められなかった。引き続き、長鎖脂肪酸がmiR-20a-5pの発現に与える影響について解析予定である。さらに、4)高脂肪食を摂取したマウス大腸LPLにおけるmiRNA発現と腸内細菌叢の相関解析を行ったところ、miR-20a-5pとRomboutsia属の間に正の相関が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸LPLへの遺伝子導入以外はおおむね順調に進んでいる。今年度得られた結果を元に下記の実験を進める。 引き続き、1)高脂肪食によって増加するマウス大腸LPLのmiR-20a-5pが標的遺伝子であるNr4a3の発現低下を介してTregへの分化を抑制しているかどうかを確かめる。具体的にはTreg誘導条件下において、 EL-4細胞にmiR-20a-5p mimicを遺伝子導入した際のTregの分化レベルをフローサイトメトリーおよびウエスタンブロットによって比較する。 2)高脂肪食摂取によって増加するRomboutsia属のマウスへの単菌投与がmiR-20a-5pの発現増加に寄与するかを確かめる。
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Report
(2 results)
Research Products
(27 results)