涙液分泌機能におけるポリフェノール・パラドックスを脳腸軸から紐解く
Project/Area Number |
22K14844
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小川 健二郎 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 助教 (70840700)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | ポリフェノール / 涙液分泌 / ドライアイ / 脳腸軸 |
Outline of Research at the Start |
難吸収性ポリフェノールが腸管を起点とした脳腸軸を介して涙液分泌改善作用を有するとの仮説を基に、検証する。はじめに、難吸収性のポリフェノール重合体含有食品、縮合型タンニン、加水分解型タンニン類が、腸管受容体を介して迷走神経にどのような影響を及ぼすか、ラット腸管を用いたマグヌス試験にて比較検討する。次に、多様なポリフェノール重合体素材を涙液分泌低下マウスに投与し、涙液分泌機能および自律神経系への影響を評価する。最後に、ポリフェノール重合体の涙液分泌改善作用が、交感・副交感神経遮断薬または腸管蠕動運動抑制薬、あるいは迷走神経結紮処置にて消失することを確認し、本研究の仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度はドライアイ発症マウスであるnon-obesity diabetes (NOD) マウスを用いて、ポリフェノール重合体を含む素材を2~6週間経口摂取させ、涙液分泌機能が改善される時期およびメカニズム解明を目的に試験を実施した。結果として、投与4週間後より涙液分泌は有意に比較対象と比べ増加し、その作用機序として涙腺組織においてエネルギー代謝に関わるAMPキナーゼ(AMPK)の活性化作用が関わる可能性を見出した (Ogawa, et al. In Vivo, 2023) 。しかし一方で、涙腺における慢性炎症および水分泌に関わるアクアポリン5の局在や発現に影響はみとめられず、涙腺組織障害と分泌量との関連性も認められなかったことから、腸内環境の変化および迷走神経を介した涙液分泌への影響の可能性がある。ポリフェノール重合体による腸管を介した涙液分泌改善作用であることを確かめるため、ブルーベリー葉由来のプロアントシアニジンを多く含む分画物を動物試験用に調製し、次年度は重合度と涙液分泌量との相関性、あるいは腸内細菌叢への影響を検討する。 また、本年度は腸管マグヌス試験を実施する環境を整えるに終わったため、今後はプロアントシアニジンの異なる重合度画分や単量体~4量体の縮合型タンニンなどを用いて、マウス腸管組織の受容体を介した直接的な神経刺激作用について評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に計画していた腸管マグヌス試験について、本大学で使用を予定していた器機よりも評価に優れた他大学の装置を使用することに計画を変更した。マグヌス装置の立ち上げや時期についてスケジュールを見直した結果、本試験については次年度に持ち越すこととした。 動物実験について、重合度の異なるポリフェノール素材を投与し、涙液分泌への影響および自律神経系への影響を検証する予定であったが、ポリフェノール重合体の分画法の改善および神経伝達物質類の測定法の検討に留まった。一方で、ポリフェノール重合体の様々な画分を調製できるようになり、今後はマグヌス試験ならびに動物試験においてポリフェノール重合度や構造による腸管および涙液分泌への影響を評価していける。
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Strategy for Future Research Activity |
高重合度のプロアントシアニジンを含むブルーベリー葉を素材とした、重合度の異なるポリフェノール素材について、ドライアイマウスの涙液分泌改善作用を比較検討する。また、腸内環境への影響を調べるため、腸内細菌叢の解析を行うとともに、神経伝達物質(アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン)の変動を測定する。 並行して、さまざまなポリフェノール重合体および標品について、腸管組織を用いたマグヌス試験にて腸管受容体への反応性を調べることで、各種ポリフェノール素材の腸管組織への直接的作用について評価を行う。これにより、ポリフェノール重合体の腸管内における作用機序(腸管受容体を介した神経刺激、腸内細菌叢の改善、あるいはその両方)を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)