メタノール誘導性mRNAとタンパク質の分解制御におけるオートファジーの役割の解明
Project/Area Number |
22K14862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 晃將 京都大学, 農学研究科, 助教 (70908110)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | メタノール酵母 / mRNA / タンパク質 / オートファジー / 転写後調節 |
Outline of Research at the Start |
植物葉面におけるメタノール酵母(C1酵母)の生存戦略に関する研究などから、mRNAとタンパク質分解が担う遺伝子発現調節の重要性が示唆されているが、C1酵母の転写後における両分子の制御機構については未解明である。そこで本研究の目的を『C1酵母におけるmRNAとタンパク質可視化系の構築とそれら分子の分解制御におけるオートファジーの役割の解明』に設定する。局在性や分解量の観点から、mRNAとタンパク質の液胞内分解における生理的意義の違いやメタノール誘導性遺伝子の発現調節におけるオートファジー分解の役割を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物葉面におけるメタノール酵母(C1酵母)の生存戦略に関する研究などから、mRNAとタンパク質分解が担う遺伝子発現調節の重要性が示唆されているが、C1酵母の転写後における両分子の制御機構については未解明である。そこで本研究では、C1酵母におけるmRNAとタンパク質可視化系の構築とそれら分子の分解制御におけるオートファジーの役割の解明を目的とした。特に、アルコールオキシダーゼ(AOD)、ジヒドロキシシンターゼ(DAS)、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(FLD)などメタノール代謝に関わるmRNAとタンパク質に着目している。
本年度は、メタノール誘導性mRNAの細胞内動態を追跡することに注力し、これまでモデルとして利用したDAS1 mRNAに加え、AOD1 mRNAとFLD1 mRNAの可視化にも成功した。これらmRNAはメタノール誘導後に核から細胞質へと移動し顆粒構造を形成し、局在場所と顆粒数の変化が、転写量およびタンパク質量の推移と連動することがわかった。一方、解糖系の酵素であるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のmRNAにはこのような関連が見られなかったことから、上記結果がメタノール誘導性mRNAに見られる特有の動態であることがわかった。
加えて、メタノール誘導性mRNAの細胞質内に局在する場所の特定を試みたところ、RNA を介する遺伝子発現の時空間的制御を担うRNP顆粒の一種Processing body(P-body)とDAS1 mRNAが部分的に共局在した。また、熱ショックを含むストレスを与えるとその共局在率が上昇した。P-bodyは細胞質内でmRNAの分解を担うことが報告されていることから、本研究でターゲットとしているオートファジーとの関連にも着目して研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1960年に端を発するC1酵母研究を俯瞰すると、代謝経路の解明を含めた基礎研究から有用物質生産などの応用研究まで多岐に渡ることが見て取れる。中でも、発現誘導機構やプロモーターの機能解析など転写量制御に関する知見は数多く得られ、工業レベルでの生産にも応用利用されてきた。また、C1酵母を用いて、ペルオキシソームの合成と分解における分子機構の詳細も明らかになりつつある。しかし、転写以降におけるmRNAとタンパク質の細胞内制御については、ペルオキシソーム局在タンパク質がオルガネラの一部として分解されること以外未解明な部分が多い。
本年度の研究から、複数のメタノール誘導性mRNAの可視化に成功し、局在場所と顆粒数の変化が転写量およびタンパク質量の推移と連動すること、細胞質に形成される顆粒の一部がRNP顆粒と部分的に共局在することを明らかにしたことにより、C1酵母におけるmRNA研究を強力に推進する地盤を固められた点で重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、U1A法を応用利用することで、メタノール誘導性mRNAとタンパク質両分子の可視化系を構築する。モデルとしては、DAS1 mRNAおよびDas1タンパク質を用いる。タンパク質の可視化には、エピトープタグ配列をN末端に付加し、翻訳後抗エピトープFabがその配列に結合することで蛍光を発する仕組みを利用する。これにより、1分子のmRNAが細胞質に輸送された後の一生涯を追跡することが出来る。本系が機能しない場合は、現状のU1A法でDAS1 mRNAのみを可視化し、Das1タンパク質を可視化する発現ベクターを別途導入する。1分子のmRNAの一生涯を追跡することは出来ないが、同一細胞内でmRNAとタンパク質をそれぞれ可視化することで、局在の違いなどを視覚的に捉えることが可能である。
これまでの研究から、DAS1 mRNAの一部が細胞質mRNA分解系の一つであるP-bodyと部分的に共局在することを見出している。メタノール誘導性mRNAとタンパク質両分子の可視化系が構築されれば、オートファジーに加えP-bodyにも着目しながら研究を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)