Project/Area Number |
22K14866
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
|
Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
大竹 興一郎 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 特任研究員 (60940442)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | CENP-B / エピジェネティクス / クロマチン構造制御 / 酸性アミノ酸ドメイン / ヒト人工染色体 / 遺伝子発現制御 / セントロメア / 酸性ドメイン |
Outline of Research at the Start |
近年、細胞が持つ物質生産能力を人工的に引き出し利用する合成生物学の研究が世界的に高まりつつある。動物、植物の違いなく、細胞に物質を生産させる上で基本かつ重要なのが遺伝子発現の制御であり、これは、クロマチン構造の制御下にある。本研究代表者らは、合成DNAを用いたクロマチン制御技術によるセントロメア形成機構の研究から、セントロメアタンパク質CENP-Bの酸性アミノ酸が連なる巨大酸性ドメインに、クロマチン交換反応を促す性質があることを見出した。本研究は、このCENP-B酸性ドメインがクロマチン構造に及ぼす影響の解明と、その性質を利用した新型転写制御への応用、の2点を柱とした計画である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
動物、植物の違いなく、細胞に物質を生産させるために重要なのが、遺伝子発現の制御であり、それには遺伝子、さらには、その制御領域のクロマチン構造のエピジェネティックな制御が重要である。遺伝子発現カセットを導入し、多数の発現株を取得しても、発現レベルのバラつきや、発現を長期に維持できない場合があり、その原因の一つは、遺伝子発現カセット上のクロマチンがエピジェネティックに変化していくためである。申請者は、これまでの研究によって、ヒトセントロメア由来の反復DNA(アルフォイドDNA)上のCENP-B box配列へ結合するタンパク質、CENP-Bの結合が、クロマチン交換を促す性質を持ち、さらに様々なヒストン修飾因子、クロマチンリモデリング因子の集合を促進することを見出し、それがCENP-Bが持つ巨大な酸性アミノ酸ドメインの働きであることを同定した。本研究は、(1)酸性ドメインがクロマチン構造に与える影響のメカニズムの解明と、(2)この性質を利用したエピジェネティックなクロマチン構造変換を介した新型合成転写制御因子の開発、二つの計画から構成されている。2022年度は、両方の計画で使用するためのエフェクター構築として、酸性ドメインのN末端に、tetオペレーター(tetO)配列への結合タンパク質tetリプレッサー(tetR)および、CENP-B box結合ドメインであるCENP-B DBD(DNA binding domain)を融合させたタンパク質を発現させるプラスミドを作製し、これらを細胞に導入することで、目的のタンパク質の発現と、それらがクロマチン上へ結合していることをクロマチン免疫沈降解析によって確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、本研究を通して使用するCENP-B酸性ドメインを染色体に結合させるための構築を作製した。申請者は、アルフォイドDNA反復単位にtetO配列を組み込んだ合成DNA(tetO-アルフォイドDNA)を染色体腕部に持つ細胞株や、このDNAからなる分裂機能を保持するヒト人工染色体(tetO-HAC)細胞株を使い、これまでセントロメア、クロマチン構造制御に関する研究を進めてきた。これら細胞株に作製したプラスミドを導入し、目的のタンパク質の発現と、それらがクロマチン上へ結合していることをクロマチン免疫沈降解析(ChIP解析)にて確認した。加えて、発現タンパク質の結合が確認された染色体腕部には、以前の研究で報告したCENP-B酸性ドメイン結合依存的に集合するタンパク質の集合も観察されたことから、作製したエフェクター構築には期待した機能が保持されていることが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
エフェクター構築の作製、及びクロマチンへの結合が確認できたので、2023年度は、計画(1)”酸性ドメインがクロマチン構造に与える影響”において、エフェクター結合領域の、ヒストン修飾状態、ヌクレオソームの安定性、ヒストンの交換反応速度について解析を行う。 計画(2) “酸性ドメインの性質を利用したエピジェネティックなクロマチン構造変換を介した新型合成転写制御因子の開発”については、CENP-Bの働きは、現在のところアルフォイドDNA上でしか確認されていない。CENP-B酸性ドメインが、アルフォイドDNA以外の、ゲノム上のユニークな配列上でも期待する機能を発揮するのかを検証するために、CRISPR/Cas9のシステムを応用したdCas9をN末端に結合させたエフェクター構築を作製し、結合領域のクロマチン構造に与える影響を解析する。
|