Project/Area Number |
22K14920
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木村 誇 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (90758559)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 樹木根系 / 崩壊抑止効果 / 航空レーザー測量 / 植生高モデル / 単木識別 / 火山灰土層 / 表層崩壊 / 地震 |
Outline of Research at the Start |
地震により表層崩壊が多発すると、植生や表土が剥ぎ取られて山地の荒廃が急速に進む恐れがある。一方で、森林の樹木根系には表土層のせん断抵抗力を増す効果があり、地震時の表層崩壊も抑止するのではないかと考えられる。本研究では、多数の表層崩壊が発生した2016年熊本地震と2018年北海道胆振東部地震の震央周辺を対象に、航空レーザー測量データを用いて個々の樹木のサイズや粗密を解析し、そこから推定される樹木根系の発達状況と表土層緊縛力の違いを広域で定量化する。これにより、地震による表層崩壊の分布との対応関係を明らかにして、地震時における森林の崩壊抑止効果の実態を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高精細な航空レーザー測量データ(ALSデータ)を用いて樹木個体のサイズや疎密を解析し、そこから推定される樹木根系の分布・発達状況と表土層緊縛力の違いを広域で定量化する。そして、地震によって発生した表層崩壊の分布との比較から、樹木根系による地震時の表層崩壊抑止効果を見積ることを目的としている。 2023年度は、解析対象地域の地質・地形・植生などの基礎情報の収集整理、解析基盤の整備、解析手法の検討、樹木根系の分布推定および樹木根系による表土層緊縛力の推定に関わる文献調査などの机上調査を引き続き進めるとともに、現地調査によって樹高・樹木密度データの取得を行った。熊本県・阿蘇地域では、カルデラ西部の人工林、天然林、草地が隣接する斜面において小型無人航空機(UAV)を用いた写真測量を行った。このデータを用いてALSデータよりもさらに高精細な植生高モデル(ALSデータが1m~数十cmオーダーであるのに対してUAVデータは数cmオーダー)が構築でき、ALSデータ解析精度の検証が可能になった。北海道・胆振東部地域については、地震前後のALSデータ、森林調査簿データ、複数時期の光学衛星画像データ等から、解析対象範囲における植生タイプの区分を行った。なお、阿蘇地域では、2019年と2020年に計測されたALSデータも新たに取得できた。これらのデータは2018年までのデータと同等かそれ以上の精度を有しているため、計測点群の密度が低かった場所を補完するデータとして活用する予定である。 Pit-free法を用いた樹木個体の単木識別およびサイズ推定の解析手法については、ALS点群データの階層化、樹冠範囲および樹頂点位置の特定について、解析の効率化のための改良をさらに進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、対象2地域の現地調査やALSデータの解析をさらに進めたが、樹高・立木密度分布モデルの完全な構築までには至らなかった。ALSデータの計測点群の疎密がPit-free法を用いた解析に及ぼす影響が大きく、空中写真やUAVデータから識別できる樹木個体(樹冠)の分布と比べて妥当と判断できるようなレベルの単木識別、サイズ推定ができなかったためである。 ただし、Pit-free法の改良については、既往研究の文献調査を通じていくつかの解決策をすでに講じており、一定レベルの樹高・立木密度分布モデルの構築は実現できる見通しが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、研究内容を以下の4項目に分けて次の順序で進めている:(1)地震による表層崩壊発生箇所の特定、(2)高精細測量データの形状解析に基づく樹木個体の識別と個体サイズ、分布密度の計測、(3)樹木根系による表土層緊縛力の広域推定、(4)表土層緊縛力と表層崩壊の発生密度、面積割合との対応関係の解析。 2024年度は、上述の項目のうち(3)、(4)を中心に進める予定である。 また、項目(2)については、昨年度までに樹高・立木密度分布モデルの完全な構築までには至っていないことから、高精細測量データの解析についても引き続き取り組む。
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