Project/Area Number |
22K14932
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
家永 直人 筑波大学, システム情報系, 助教 (30899133)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | ワムシ / 種苗生産 / 養殖 / 深層学習 / 画像処理 / 物体検出 / 物体追跡 |
Outline of Research at the Start |
ワムシは各種海産魚類養殖種苗の初期餌料として広く利用されているが,増殖不良が発生しやすく,ワムシが全滅することさえある.そのためワムシの数や大きさなどを日々測定し,ワムシの健康状態を把握しなければならない.この測定作業は素人には難しいだけでなく,非常に手間のかかる作業である.本研究では深層学習を活用し,ワムシの健康状態を自動で診断するシステムの構築を目的とする.このシステムはワムシの動画像を入力とし,簡便なワムシの健康状態診断を可能とする.本研究の成果は,ワムシの自動培養システムの開発などへの応用にもつながると期待できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、さまざまな養殖魚類の初期餌料として広く利用されているワムシの培養の自動化を目指し、ワムシの健康状態を動画像から自動で診断するシステムを研究開発することである。初年度の2022年度には、(1)ワムシの動画データセットの収集とアノテーション、(2)動画を入力としてワムシの個体数と卵の数、動きを測定する手法の実装を中心に研究を進めた。 (1)ワムシを一定期間培養し、スマートフォンのカメラと顕微鏡によってワムシの動画を収集した。研究協力者の協力のもと、収集した動画の一部にワムシの領域をアノテーションした。アノテーションされたインスタンス数は3万以上であった。このデータセットは、当該領域の研究発展のため公開する予定である。 (2)2年目(2023年度)に実施予定であった、動画を入力とした手法の実装を進めた(詳細は【現在までの進捗状況】参照)。近年提案された高精度な物体検出手法(YOLOv8)と追跡手法(BOT-SORT)を利用した、ワムシのカウンティング、卵の有無の認識、動き方の評価のための手法の研究開発、また、2年目の後半に実施予定でありワムシよりも困難だと考えられる繊毛虫の検出についても検討を進めた。このシステムを誰でも利用できるように整備した上で、公開する予定である。 上記の成果をまとめた論文を、Aquacultural Engineering(IF 3.273)に投稿予定である。さらに、この研究の枠組みはワムシ以外にも適用可能であると考え、実際に他の問題(クロマグロの突進遊泳検出)にも応用した。この成果は、第233回CVIM研究発表会にて口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階では、(1)研究初年度(2022年度)に、まずワムシの個体数や卵の数、摂餌状況を画像から認識する手法、(2)最終年度(2023年度)前半に、ワムシの動き方や走光性の強さを動画から認識する手法、(3)そして最終年度後半に、ワムシよりも認識が困難だと考えられる繊毛虫などの原生動物、細菌、ゴミなどの量を認識する手法、と段階的に研究を進める予定であった。しかし、本研究申請直後に本研究と目的が類似した研究が発表され(J. Geng. (2021). University of Miami)、画像に基づく手法ではインパクトが小さくなると考えられた。そこで、本年度から動画に基づく手法の研究開発に着手した。 よって【研究実績の概要】の通り、(1)(2)(3)を同時並行で進める形となった。また昨今の世界情勢もあり、GPU搭載ワークステーションの納品に2ヶ月を要した。それらの理由から、本年度は予定していた論文誌への投稿はできなかった。しかし、前述の通り論文誌への投稿準備は遅ればせながら着実に進んでいること、2年目に実施予定であった内容にもすでに着手できていること、他問題への応用も進められたことから、総じて初年度としては、おおむね予定通りの研究実績であったと捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度にシステム全体の大枠が完成したため、最終年度である2023年度には、(1)データセットの拡充、(2)指標の相互関係の解明、(3)システムの高精度化を進める。 (1)初年度に初めてワムシのデータセットを構築し、深層学習を活用したシステムを利用する上での、適切な動画撮影時の液滴量や倍率などの条件がわかった。それらの条件で撮影した動画をデータセットに追加する。また、これまでのデータセットは条件の似た動画のみから構成されているが、さまざまな条件(例えば、餌を十分に与えた条件やあえて不足させている条件など)で動画を収集することで、より頑健なシステムを目指す。さらに、研究協力者の協力のもと、マグロの養殖現場で実際に培養されているワムシの動画もいただき、利用する。もし何らかの理由で動画をいただけなかったとしても、養殖現場の方に研究代表者の撮影した動画のワムシの状態(順調に培養されている、収穫すべき段階、培養がうまくいっていないなど)をアノテーションしていただき、単にワムシの定量的な数値を測定するだけでなく、本研究の最終目標であるワムシの健康状態を総合的に診断するシステムの完成を目指す。 (2)測定されたワムシの指標のデータが蓄積した後、主成分分析や非負値行列因子分解などの手法を用いて、指標間の相互関係を解明することで指標の整理をする。これにより、ワムシの培養における重要な指標を科学的に明らかにする。 (3)初年度に動画を入力としたシステムの全体がおおむね構築できているため、(1)(2)が主な今後の方策となるが、さらに、初年度には着手できなかったワムシの摂餌状況の認識や、繊毛虫の認識の精度向上にも取り組み、より高精度で実用的なシステムを目指す。 上記の成果をまとめた論文の、論文誌での採択も目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)