Project/Area Number |
22K14966
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 41030:Rural environmental engineering and planning-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高田 亜沙里 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (40912069)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 棚田 / 気候変動 / 農業用水 / 水循環解析モデル / 水利システム / 水循環解析 / 最適化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,棚田保全を困難にしている要因の一つと考えられる,水利システムによる配水操作・管理上の問題に焦点を当てた.持続的な保全が望まれる国内外の棚田地域の水利システムを解明するとともに,水循環解析モデルによる定量的な分析に基づいて,伝承が難しいとされていた水管理のノウハウを降雨量や水位等の数値情報を用いて提供する.また,効果的な保全活動の促進に向けて,現在と将来気候下における各水田の耕作放棄リスクを明示する.さらに,収量の最大化,渇水が生じる水田面積や灌漑労力の最小化を目的関数として,各水田の取水量,配水ルート,灌漑排水手法を最適化し,耕作放棄リスクを軽減する適切な水管理手法を提案する.
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究実施計画の(2)水文気象・地形データの収集,(3)水利システムを精緻に表現可能な水循環解析モデルの構築,(5)気候変動下における耕作放棄リスクの評価と水管理手法の提案について重点的に取り組んだ.(2)に関しては,つづら棚田の水田への用水量を把握するため,現地の農業者の協力のもと,主要な8本の用水路の取水口に圧力式水位計を設置した.また,チプタゲラ棚田では水文・気象観測データの回収,および水田水利用と小水力発電施設の水需給や管理に関する聞き取り調査を行った.(3)に関しては,つづら棚田ではモデル構築に必要な観測データがまだ十分に揃っていなかったことから,まずはプロトタイプモデルを構築した.農業水利用に関する観測データが十分に得られた信濃川流域にて分布型水循環解析モデルを構築し,国営かんがい地区といった広域スケールの取水,排水,還元などの農業用水の水循環を表現できることを確認した.今後は,つづら棚田のような小流域の農業用水の水循環を表現できるように,用排水に関するサブモデルの改良を進めていく.(5)に関しては,気候変動下における最適な水管理手法の提案を目指して,将来の気候や営農の変化が農業用水の水需給バランスに対して及ぼす影響の評価手法を構築した.分布型水循環モデルの準備が整った信濃川流域を対象に,水稲生育モデルも併せて適用し,気候や水稲の作付け時期が変化した場合に,収量・品質と農業用水の不足リスクに及ぼす影響を評価した.信濃川流域を対象とした(3)と(5)の成果を査読付論文1件,国内外5件の学会にて発表した.また,本研究の次の展開に向けて,高知県中土佐町の棚田地域の用排水システムや農業水利用に関する現地調査を行い,その成果を棚田学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実施計画書のうち,(2)水文気象・地形データの収集,(3)水利システムを精緻に表現可能な水循環解析モデルの構築,(5)気候変動下における耕作放棄リスクの評価と水管理手法の提案について進展があった.(2)に関しては,昨年度までの課題であったつづら棚田の各水田への用水量を把握するための現地観測を開始できた.観測を続けデータ数が十分に揃えば,つづら棚田への水循環モデルの適用や用排水サブモデルの改良に活用できる.(3)に関しては,水循環解析のためのプロトタイプモデルの構築に成功し,つづら棚田のような小流域に適用する際には,モデルの空間スケールや用排水サブモデルの改良が必要という課題点を整理することができた.(5)に関しては,水循環解析モデルと水稲生育モデルと組み合わせることで,将来の気候や営農の変化が農業用水の不足リスクに対して及ぼす影響の評価手法を構築できた.また,特に(3)と(5)の成果に関して,査読付論文1件,国内外5件の学会にて発表できた.本研究目的である「水リスクを算出できる水循環解析モデルの開発」,「気候変動の影響を考慮可能な水管理の最適化モデルの開発」に向けて,その基盤となるモデルの準備を行うことができ,研究が順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画書の(2)水文気象・地形データの収集,(3)水利システムを精緻に表現可能な水循環解析モデルの構築,(4)水管理の最適化モデルの構築を進めていく.(2)に関しては,つづら棚田での水文気象観測を続けていき,水循環解析モデルの適用に向けたデータの整備を引き続き取り組んでいく.(3)に関しては,信濃川流域にて構築したプロトタイプモデルをつづら棚田のような小流域の農業用水の水循環を表現できるように,モデルの空間スケールや用排水に関するサブモデルの改良を進めていく.その際に必要となる用排水網や管理に関する情報は適宜,現地の農業者への聞き取り調査で把握していく,(4)に関しては,(5)で構築した評価手法を用いて,気候変動や営農の変化が対象流域の農業水利用に及ぼすリスクを検討する.そして,気候変動下でどのような営農や水管理を行えばそのリスクを回避に繋がるのか,モデルによる評価結果をベースに提案する.
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