ネコモルビリウイルスの持続感染に不完全ウイルスRNAが果たす役割の解明
Project/Area Number |
22K14999
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
坂口 翔一 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20815279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | Defective Interfering / RdRp / ネコモルビリウイルス / RNAウイルス / ウイルス / RNA / ネコ / 腎臓 / 尿細管間質性腎炎 |
Outline of Research at the Start |
高齢のネコでは泌尿器疾患の罹患率が約20%と高いが、原因は明らかでない。このうち、ネコの尿細管間質性腎炎の原因のひとつがネコモルビリウイルス感染とされている。これまでの研究から、このウイルスの1年以上の持続感染が観察されていることから、腎臓での持続感染が病態形成に関わっていると考えられる。ウイルスの持続感染には不完全ウイルスRNAが関与することが考えられるが、このRNAの網羅的な解析は技術的に困難で、不明な点が多い。そこで本研究では独自の方法を使って網羅的なコピーバック型不完全ウイルスRNAの同定を試み、不完全ウイルスRNAの全体像を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
1年目にFLDS法によって得たmetatranscriptomeデータを解析した結果、長い不完全ウイルスRNA(DIゲノム)が優先的に検出される傾向があることが明らかとなった。この結果を受け、現在DIゲノムの網羅的な検出に向けて、FLDS法の最適化および通常のRNAseqを併用した解析を行なっている。 DIゲノムがFeMVの増殖に与える影響を評価するため、FeMV SS4株とCRFK細胞を用いたプラークアッセイ法およびフォーカスアッセイ法の確立に取り組んだ。並行して、TCID50法によるウイルス力価の測定も行っている。これらの実験系を用いて、抗ウイルス化合物候補のFeMV増殖抑制効果を評価したところ、FeMVの増殖を抑制する化合物が得られた。これらの実験系は、人工DIゲノムの機能解析に有用であると考えられ、今後の研究に活用する予定である。 さらに、FeMVのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)であるLタンパク質に着目し、コアモチーフ以外のRNA複製に重要なモチーフの探索を行なった。FeMVを含む近縁のウイルス種からRdRpの配列を収集し、緩いクラスタリングとアライメント、分割を行うことで、コアモチーフ以外の領域に複数の保存配列を見出した。これらの配列は、RdRpの機能に重要な役割を担っている可能性があり、DIゲノムの産生メカニズムを理解する上で手がかりになると期待される。 以上の研究により、DIゲノムの網羅的検出、化合物や不完全RNAがウイルス増殖に与える影響の評価系の構築、およびLタンパク質の重要モチーフ候補の同定が進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の研究ではDIゲノムの網羅的解析と、機能解析に向けた基盤技術の確立が進展した。検出されたDIゲノムの特徴や意義については現在解析中である。また、Lタンパク質については、コアモチーフ以外の重要な保存配列を同定した。これらのモチーフの立体構造や機能については現在解析を進めている。一方、経時的な不完全ウイルスRNA産生の解析については、FLDS法と通常のRNAseqで得られるデータを比較検討し、metatranscriptome解析の方法を確定した上で行う予定である。また、不完全ウイルスRNAの人工合成についても、網羅的に同定されたDIゲノムの配列情報をもとに、2024年度に実施する計画である。 これらの結果をふまえ、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は申請書に記載のとおり、急性感染細胞と持続感染細胞における宿主遺伝子の発現量解析をRNAseq解析により行う。特に免疫関連遺伝子に着目する。また、metatranscriptome解析の結果をもとに、2023年度に積み残した、感染細胞の継代ごとの経時的な不完全ウイルスRNA産生変化の解析と、感染細胞において発現量の多い不完全ウイルスRNAの人工合成についても取り組む。また、創薬のための基礎データとするため、ウイルス増殖を抑制する化合物の添加による不完全RNA産生の評価も行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The International Virus Bioinformatics Meeting 20232023
Author(s)
Hufsky F.、Abecasis A.、Babaian A.、Beck S.、Brierley L.、Dellicour S.、Eggeling C.、Elena S.、Gieraths U.、Ha A.、Harvey W.、Jones T.、Lamkiewicz K.、Lovate G.、Lucking D.、Machyna M.、Nishimura L.、Nocke M.、Renard B.、Sakaguchi S.ら
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Journal Title
Viruses
Volume: 15
Issue: 10
Pages: 2031-2031
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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