妊娠期のトキソプラズマ症における脂質代謝調節機構とその影響についての解明
Project/Area Number |
22K15006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
潮 奈々子 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任研究員 (00941428)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | リポタンパク / 脂質代謝 / 絨毛細胞 / 妊娠 / トキソプラズマ / 発生 |
Outline of Research at the Start |
トキソプラズマ症は妊娠期の感染により流・死産や先天異常などを引き起こすが、その病態機序は解明されていない。コレステロールは胎児の脳発生およびトキソプラズマの増殖に不可欠である。本研究では、「トキソプラズマ由来の伝播分子が胎盤のコレステロール移行機能を調節し、それにより胎児の脳発生に影響を及ぼす」という仮説をもとに、マウスの垂直感染モデルや絨毛細胞の培養系を用い、母体と胎仔における血清リポ蛋白の変化、絨毛細胞における脂質代謝関連分子の発現解析、遺伝子編集技術を用いた伝播分子の同定を行い、トキソプラズマによる脂質代謝を調節する機構を明らかにする。また、病理学的に胎仔の脳発生への影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
トキソプラズマ症は妊娠期の感染により流・死産や先天的異常などの多様な病態を引き起こすが、その病態メカニズムは解明されていない。コレステロールは胎児の脳発生にとって不可欠であるが、トキソプラズマの増殖においても重要である。本研究は、感染マウスにおいて胎盤関門を形成する絨毛細胞に脂肪滴が観察されることから着想を得て、「トキソプラズマ由来の伝播分子が胎盤のコレステロール移行機能を調節し、それにより胎児の脳発生に影響を及ぼす」という仮説を立てた。本研究ではマウスの垂直感染モデルや絨毛細胞の培養系を用い、母体と胎仔における血清リポ蛋白の変化、絨毛細胞における脂質代謝関連分子の発現解析、遺伝子編集技術を用いた伝播分子の同定を行い、トキソプラズマによる脂質代謝を調節する機構を明らかにする。また、胎仔の神経前駆細胞の分化段階を評価し、脳発生への影響を明らかにする。本年度はマウスの感染モデルを用いた母体と胎仔における血清リポ蛋白の変化について検索を行った。感染後5日目(妊娠17日目)の妊娠マウスでは、非感染妊娠マウスに比べて有意に中性脂肪が減少し、コレステロールが増加しているのに対し、感染個体の胎仔は非感染個体の胎仔に比べ優位に遊離グリセロールが減少し、コレステロールが増加していることが明らかになった。これは、妊娠期の母体の原虫感染によって母体の脂質代謝のみならず胎仔の脂質代謝が変化していることを示す結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
妊娠および出産に伴い、産前産後休暇を取得した。また切迫早産と診断されたために、自宅安静を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に採材した胎仔の脳および胎盤組織を用いた組織検索を行い、神経前駆細胞の分化段階の違いや胎盤における脂質輸送タンパク質の局在の変化を明らかにする。さらに、絨毛細胞の培養系を用いた感染実験により、細胞レベルの脂質代謝に影響を与える原虫由来分子の同定を図る。また、遺伝子編集によって同分子を欠損させた原虫を作成し、本年度用いたマウスモデルを使って、形質がどのように変化するか検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)