Elucidation of the pathophysiology of inflammatory bowel disease / intestinal lymphoma based on the concept of disease spectrum
Project/Area Number |
22K15007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大参 亜紀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (50800653)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | リンパ腫 / 炎症性腸疾患 / 慢性腸症 / 上皮内リンパ球 / ゲノム異常 / 遺伝子発現プロファイル |
Outline of Research at the Start |
犬において慢性的な消化器症状を引き起こす疾患として、炎症性腸疾患と低悪性度消化器型リンパ腫が知られている。治療法や予後が異なるため両者の鑑別は重要とされているが、臨床症状のみでは鑑別できず、病理組織学的検査でも区別が困難である場合が多い。本研究では炎症性腸疾患と低悪性度消化器型リンパ腫は全く別の二つの疾患ではなく、連続した“スペクトラム”を持つような疾患群であると捉え、各細胞の空間的情報も加味した解析法を導入しながら腸組織に浸潤するリンパ球を正常リンパ球やそのほかの腫瘍性疾患の腫瘍リンパ球と比較することにより、炎症性腸疾患と低悪性度消化器型リンパ腫の類似点と相違点の双方を見出す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は腸組織に浸潤するリンパ球に着目して、犬の炎症性腸疾患と消化管型リンパ腫の病態を解明することを目的としている。特に、これらの疾患は「連続した”スペクトラム”を持つ疾患群である」と仮定して、その類似点と相違点の両方を見出すことに主眼をおいている。 本年度はまず、上記のそれぞれの疾患に罹患した症例の腸組織のうち上皮内あるいは粘膜固有層に存在するTリンパ球をそれぞれ区別して網羅的に遺伝子発現プロファイルを解析すべく、Photo Isolation Chemisty (PIC)技術を用いた解析の条件検討を開始した。 また、遺伝子発現プロファイルのみならず遺伝子変異にも着目することとし、まずは消化管型リンパ腫に罹患した症例の腸組織を用いてWhole exome sequenceによって網羅的に遺伝子変異を探索した。その結果、正常な犬ゲノム配列と比較して多くの遺伝子変異が抽出され、中でもSOCS3やZDBF2といった、人の腸管リンパ腫でも変異が認められる遺伝子群においてアミノ酸置換をもたらす変異が複数症例において検出された。さらに、これらの結果を踏まえてより多くの症例検体(n=37)を用いてターゲットシーケンスによって特定の遺伝子群における変異を詳細に解析したところ、上記2遺伝子に加えてSTAT3遺伝子におけるアミノ酸置換をもたらす変異が複数症例で検出された。これらの結果から、犬の消化管型リンパ腫においては細胞内シグナルの一つであるJAK/STAT経路に関連する遺伝子に変異が存在する可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において中核をなすPIC技術を用いた解析の条件検討に予定よりも大幅に時間を要している。そのため、計画を変更し、PIC解析の条件検討を継続しつつ、次世代シーケンサーを用いた遺伝子変異解析を並行して実施することとした。その結果、上記のように犬の消化器型リンパ腫の病態に重要な役割を果たしている可能性がある遺伝子変異を検出することができた。特に、JAK/STAT経路に関与するSOCS3遺伝子やSTAT3遺伝子における変異は今後同疾患に対する新規治療標的ともなりうるため重要な成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請研究は次年度が最終年度の予定である。最終年度には以下の研究計画を実施する予定である。 まずは引き続きPIC解析の条件検討を継続し、炎症性腸疾患と消化器型リンパ腫のそれぞれに罹患した症例の腸組織のうち上皮内あるいは粘膜固有層に存在するTリンパ球をそれぞれ区別して網羅的に遺伝子発現プロファイルを解析することを目指す。 一方で、上記解析が困難となる可能性も考慮する必要があると考えている。そのため、昨年度実施した遺伝子変異解析から犬の消化器型リンパ腫の病態に重要な役割を果たしていることが疑われたJAK/STAT経路の破綻に着目し、この経路の活性化制御に関与する遺伝子群における変異の詳細な解析も並行して実施する予定である。ここでは引き続きターゲットシーケンスを用いる予定であり、これによって検体中の変異を有するゲノムの割合、つまり変異を有する細胞の割合を推定することができるため、これを利用して炎症性腸疾患においても少ない頻度でこれらの変異を有する細胞が存在することを示すことで、両疾患が連続した”スペクトラム”を持つ疾患群であることを証明する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)