スプライシング抑制を介した遺伝子発現キャンセル機構の解明
Project/Area Number |
22K15034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
幡野 敦 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30755533)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | クロマチン / プロテオミクス / スプライシング / 定量プロテオミクス / クロマチンプロテオミクス / 遺伝子発現制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではこれまでの研究により見出したインスリン依存的に起こるスプライシング効率低下を介した成熟mRNA発現抑制機構(遺伝子発現キャンセリング)の実証、分子機構の理解、さらには生理的意義を検証する。そのために(1)遺伝子発現キャンセリングの検証、(2)遺伝子発現キャンセリングの制御分子機構の解明、(3)ノックインマウスを使った遺伝子発現キャンセリングの生理的意義の解明を行う。これらの研究を行うことで、インスリン抵抗性などに起因する代謝疾患の原因の理解につながることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究からインスリン刺激によりスプライセオソームがクロマチンから離脱する現象を見出した。このスプライセオソームの離脱はスプライシング効率の低下を引き起こすことが想定され、mRNAの成熟抑制を介した遺伝子発現制御を行っている可能性が考えられる。そこで本研究ではインスリン刺激によるスプライシングの離脱が遺伝子発現に与える影響を評価し、その分子基盤の解明を目指す。 まずスプライシングの離脱が遺伝子発現に与える影響を評価するためにスプライセオソームに含まれるSRSF1が実際に遺伝子のゲノム領域に結合するかをChIPを用いて検討した。intron-exon junctionを含む複数の領域に関してPrimerを設計してインスリン刺激による結合の変化を定量的に計測した。またインスリン応答遺伝子の成熟mRNAの安定性およびスプライシング速度を調べるため、スプライシング阻害剤や転写阻害剤を組み合わせた実験系を用いて検討した。成熟mRNAの安定性に関してはより生理的条件での検討を行うため、RNAにBrUを取り込ませる実験によりスプライシング前のRNAと成熟RNAの分解速度を比較した。 さらにスプライシングに着目した理由となったクロマチンプロテオミクス(ChEP-DIA法)に関しても実験系を見直し再解析を行った。この方法の開発によりより網羅的に転写因子を含むクロマチン関連分子およびスプライシング関連分子の動態解析が可能となった。これらのデータをもとに遺伝子発現キャンセリングの制御分子機構の解明が進むことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子発現キャンセリングの検証として、主に二つの実験を行った。(1)スプライセオソームとインスリン応答遺伝子のゲノム領域との結合の評価:スプライシング関連分子に対する抗体によるChIP解析をインスリン応答遺伝子のゲノム領域(エキソン―イントロン領域を含む)にスプライセオソームが結合するかを検討した。(2)インスリン応答遺伝子の成熟mRNA安定性の評価:成熟mRNAの分解速度の変化を定量するために、転写阻害剤およびスプライシング阻害剤により成熟mRNAの分解速度を定量する実験系を構築し、インスリン依存的な変化を定量した。 また研究計画申請時には実現できていいなかったクロマチンプロテオミクス(ChEP-DIA法)の最適化が完了したため、遺伝子発現キャンセリングの制御分子機構の解明ではこの手法を用いてインスリンシグナル伝達の上流にあるキナーゼを阻害した際のスプライセオソームを含むタンパク質の動態を解析し、制御シグナル伝達を同定した。また最適化したChEP-DIA法ではクロマチンへのタンパク質の結合量をさらに網羅的に解析可能となり、転写因子をはじめとした多数のタンパク質の動態が解析可能となったため、スプライセオソームと類似の挙動を示す新規分子を探索した。
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Strategy for Future Research Activity |
インスリンによるスプライセオソームのクロマチン局在制御では上流にキナーゼをはじめとしたさまざまなタンパク質による制御が考えられた。改良したChEP-DIA法を用いた解析を実施したことで新たにクロマチン関連分子およびスプライシング関連分子のインスリン刺激後の詳細な動態が分かり、これらがスプライセオソームのクロマチン局在に関与する可能性が考えられた。また、インスリンシグナル伝達に関連したキナーゼ阻害剤のChEP-DIA解析により、スプライセオソームと関連する候補キナーゼが同定できた。今後はこのキナーゼが実際にスプライセオソームの局在に影響するのか、またどのようにスプライセオソームがキナーゼを介して局在変化するのかを明らかにする。さらに得られた結果を元にインスリンにより制御される遺伝子発現にどの程度このキナーゼ―スプライセオソームaxisが影響するのかを明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)