ベータコロナウイルスの粒子形成機構の構造生物学的研究
Project/Area Number |
22K15046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 志寛 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (60866937)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | SARS-CoV-2 / クライオ電子顕微鏡 / ウイルス粒子形成 / COVID19 / M protein / 構造生物学 / クライオ電顕 / ベータコロナウイルス |
Outline of Research at the Start |
2019年末からアウトブレークしたCOVID-19は依然として世界的に深刻な危機をもたらしている。SARS-CoV-2はこれまでに報告されたSARSおよびMERSウイルスと同様に、ベータコロナウイルス (β-CoV) 属に分類されている。β-CoV属のMタンパク質はウイルス粒子形成の段階で中心的な役割を果たしている。しかし、Mタンパク質の構造は未知であり、それによるウイルス粒子形成の分子基盤も解明されていない。本課題では、β-CoVのMタンパク質を対象とし、クライオ電子顕微鏡解析によるMタンパク質の立体構造を解明することで、β-CoVの粒子形成の分子基盤を構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を引き起すSARS-CoV-2はベータコロナウイルス (β-CoV) 属の一員であり、エンベロープウイルス構造を有する。β-CoVの粒子は主に4種類の構造タンパク質 (spike, nucleocapsid, membraneおよびenvelop) 、脂質二重膜およびゲノムRNAから形成されている。その中のmembrane (M) タンパク質はウイルス粒子の脂質二重膜に局在する小型の膜蛋白質であり、β-CoVの粒子形成の段階で中心的な役割を果たしている。これまでに、Mタンパク質の構造は未知であり、それによるウイルス粒子形成の分子基盤も解明されていない。 本年度までの研究により、我々はクライオ電子顕微鏡を用いて、SARS-CoV-2のMタンパク質の2種類の立体構造を世界で初めて明らかにした。また、Mタンパク質の立体構造から特徴的な塩基性電荷を有する細胞質ドメイン(CTD)を見出した。変異体実験の結果、Mタンパク質のCTDにある塩基性残基はNタンパク質との相互作用に重要であることも検証できた。これは、ウイルスの形成に不可欠な役割を果たすこのMタンパク質の動きや働きを理解するための重要な一歩となる。これらの研究成果は、科学誌「Nature Communications」に掲載され、科学界から大きな反響を呼んだ。この成果は、新型コロナウイルスの粒子形成機構の解明と新たな治療法や予防策の開発に向けた重要な進展となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 二種類のMタンパク質の立体構造(Long and short forms)を解明した。 2. Mタンパク質とNタンパク質との相互作用部位を変異体実験で検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は下記の3点について重点的に検討し、推進する 1.In vitroでMタンパク質の多量体再構成法を確立する 2.クライオ電子顕微鏡を用い、Mタンパク質の多量体構造を解明する 3.Mタンパク質と他の構造タンパク質との相互作用プロファイリングを行う
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Structure of the?bile acid transporter?and HBV receptor NTCP2022
Author(s)
Asami Jinta、Kimura Kanako Terakado、Fujita-Fujiharu Yoko、Ishida Hanako、Zhang Zhikuan、Nomura Yayoi、Liu Kehong、Uemura Tomoko、Sato Yumi、Ono Masatsugu、Yamamoto Masaki、Noda Takeshi、Shigematsu Hideki、Drew David、Iwata So、Shimizu Toshiyuki、Nomura Norimichi、Ohto Umeharu
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Journal Title
Nature
Volume: 606
Issue: 7916
Pages: 1021-1026
DOI
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Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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