In situ observation of intracellular RAS activation and elucidation of its structural basis by in-cell NMR
Project/Area Number |
22K15068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
趙 慶慈 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (60907682)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | in-cell NMR / 核磁気共鳴法 / 翻訳後修飾 / シグナル伝達 / 低分子量GTPase |
Outline of Research at the Start |
RASタンパク質は翻訳後修飾により細胞膜に局在することで、細胞外刺激に応じて細胞増殖などに関わるシグナル伝達経路を活性化する分子スイッチであり、がん創薬の重要な標的分子である。本研究ではin-cell NMR法(細胞内NMR法)を用いて生きた細胞膜上に局在したRASの構造状態をリアルタイムで解析することにより上流刺激によるRASの活性化を定量的に捉えるとともに、RASの活性化に関与する細胞内の相互作用を明らかにすることを目指す。本研究の達成によりRASの活性化を指標とする定量的な薬効評価や、細胞内在性分子との相互作用の構造情報を基盤にした新規機序の抗がん剤の開発が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
RASタンパク質は細胞内で翻訳後、脂質修飾により細胞膜に局在することで、細胞外刺激に応じて細胞増殖などに関わるシグナル伝達経路を活性化する分子スイッチであり、がん創薬の重要な標的分子である。本研究ではin-cell NMR法(細胞内NMR法)を用いて生きた細胞膜上に局在したRASの構造状態をリアルタイムで解析することにより上流刺激によるRASの活性化を定量的に捉えるとともに、RASの活性化に関与する細胞内の相互作用を明らかにすることを目指す。 前年度までに、脂質修飾に必要なC末端部を含む全長RAS(KRAS4B)を大腸菌発現系で調製し、細胞内導入後に脂質修飾部位依存的に細胞膜へ局在することを顕微鏡観測しており、さらにin-cell NMR測定においても細胞内導入RASと細胞膜との相互作用が経時的に増大していることが示唆するNMRシグナル変化が観測された。 本年度は上流刺激によるRASの活性化を捉えるため、まずRASを活性化させる成長因子を有する血清を含まない培地をサンプルに還流させてin-cell NMR測定を行い、血清を含む培地を灌流させた場合と比較した。検出されたNMRシグナルの強度比から活性化割合を算出すると、血清不含培地では細胞内のRASの活性型割合が一定を保っていたのに対して、血清含有培地では一過的に活性型割合が上昇し、その後血清不含培地と同程度まで低下した。次に血清不含培地に増殖因子EGFを添加して測定サンプルに還流させると血清添加時と同様に一過的な細胞内のRASの活性型割合の上昇を観測した。したがってin-cell NMR法により血清に含まれる増殖因子EGFによるRAS経路のシグナル伝達のリアルタイム観測に成功したと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに大腸菌発現系を用いて調製したリコンビナントの全長RASについて、質量分析法などにより同位体標識RASもFTaseにより脂質修飾を受けることを確認した。さらに細胞外から導入したRASが細胞内で膜に局在するかを明らかにするため、蛍光タンパク質GFPを融合させたRASを細胞外から導入した結果、脂質修飾部位(C185)依存的に経時的に細胞膜へ局在することを共焦点顕微鏡により確認した。さらにIleの側鎖δ位を選択的に13C標識したRASを細胞内に導入し、連続的なin-cell NMR測定を行った結果、Ile142を始めとするRASのIle側鎖由来の細胞内NMRシグナルが観測された一方で、それらのシグナル強度は経時的に減少し、膜との相互作用によるRASの運動性の低下が示唆された。
本年度は上流刺激によるRASの活性化を捉えるため、まずRASを活性化させる成長因子を有する血清を含まない培地を所属研究室のバイオリアクターシステムによりサンプルに還流させてin-cell NMR測定を行い、血清を含む培地を灌流させた場合と比較した。活性型と不活性型の間で化学シフトの異なるI21のシグナル強度比から活性化割合を算出すると、血清不含培地では細胞内のRAS (G12V変異体)の活性型割合が25%程度で一定を保っていたのに対して、血清含有培地では一時的に50%程度弱まで活性型割合が上昇し、その後血清不含培地と同程度まで低下した。次に血清不含培地に増殖因子EGFを添加して測定サンプルに還流させると細胞内のRASの活性型割合が40%程度まで上昇することを観測した。したがってin-cell NMR観測により血清に含まれる増殖因子EGFによりEGFR受容体を介してRASが活性化されるという細胞膜上で生じるシグナル伝達の観測に成功したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のin-cell NMR観測では細胞膜との相互作用に起因して細胞内に導入したRASのNMRシグナルの感度が低く、シグナル伝達に伴うRASの活性化および不活性化の途中経過を十分に追うことができていない。そこで細胞内のRASの活性型割合変化を高い時間分解能で観測するために、本来KRASが有するチロシン残基に対するフッ素(19F)標識とその1次元NMR観測の有効性を検討する。またGドメインとC末端の間にリンカー配列を導入したRASのin-cell NMR観測を行い、Gドメインの運動性上昇によりシグナル感度が改善されるかも検討する。さらに、この手法を発展させて、各種シグナル伝達阻害剤を灌流する培地に添加することで阻害剤の効果を定量的に評価する手法の確立を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)