Project/Area Number |
22K15077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
斎藤 慧 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (10908007)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 微小管 / キネシン / TPX2 / 紡錘体 |
Outline of Research at the Start |
細胞骨格システムの組織化は、時空間的に高度に統制されたプロセスである。特に細胞分裂では微小管ネットワークの劇的な再編成が起こり、紡錘体と呼ばれる超構造を形成し、これが染色体を整列、分配する。紡錘体を構成する各部品についてはこれまでよく研究されてきたが、それらが相互作用して超構造が形成される機構については、詳細が分かっていない。本研究は、モータータンパク質のキネシンに結合すること、さらに紡錘体の形態やサイズを調節することが知られているTPX2というタンパク質に注目し、TPX2がキネシンの運動機能制御を通じて紡錘体全体の構造を制御する仕組みの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
TPX2は細胞分裂期に働く微小管結合タンパク質で、モータータンパク質のキネシンの機能制御に関わり、さらに紡錘体の大きさと形態に対しても影響を及ぼすことが知られる。本研究課題では、TPX2およびキネシンが集積することで紡錘体に特徴的な微小管アレイが自律的に生まれる機構の解明を目指して、ヒト培養細胞から精製したTPX2を用いて、一分子全反射顕微鏡、電子顕微鏡、高速原子間力顕微鏡等のイメージング手法を組み合わせて動態解析および構造解析を進めてきた。前年度までにTPX2一分子がフレキシブルな構造動態をとること、そしてTPX2高濃度存在下で複数の微小管が架橋されることが分かった。また、TPX2による微小管架橋では配向(パラレル/アンチパラレル)にバイアスが生じる可能性が示唆された。当該年度は配向バイアスについてさらに詳しく調べることを目的として、微小管のプラス端およびマイナス端を見分ける極性標識微小管を作製して蛍光観察することで、架橋微小管の配向率を曖昧さなく定量する系を確立して、TPX2の有無が架橋微小管の配向に影響することを実証した。紡錘体中の微小管アレイは特徴的な配向を示すことが知られており、TPX2がもたらす微小管架橋の配向バイアスは紡錘体の超構造形成の仕組みを理解する上で重要な要素だと考えられる。続いて、配向バイアスが生じる理由を明らかにするために、微小管上のTPX2の集積度の測定および変異体解析を試みた。TPX2は微小管に対して協同的な結合を示し、TPX2分子間の相互作用が示唆された。さらにTPX2の特定ドメインの変異体を作製して配向に及ぼす効果の評価に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TPX2の微小管架橋の配向特異性は、紡錘体に特徴的な微小管アレイを形成する上で、重要な性質と考えられる。配向バイアスを定量する手法を確立したことで、この性質の現象論的な知見をさらに深めることができた。また、極性標識微小管を活用して配向を評価する本手法は一般性があり、例えば紡錘体内の微小管パターン形成に寄与する他の微小管結合タンパク質にも容易に応用可能であるため、本研究課題の大目標である紡錘体形成機構の理解にあたって新たなツールが得られたと言える。一方、TPX2の存在により配向バイアスが生じる分子機構の解明を目指して、TPX2分子間の協調性を調べるアプローチとTPX2分子内の各ドメインの寄与を調べるアプローチを試みたが、これらは十分な成果を上げるに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究により、TPX2と微小管の相互作用を通じて複数の微小管が特徴的なパターンを生じることが明らかになったので、今後はその分子機構の解明が目標となる。上述のように複数のアプローチを試行中であり、変異体のタンパク質精製の純度の改善などの技術的な課題をクリアする必要がある。一方、TPX2の重要な性質としてモータータンパク質キネシンの機能制御が知られているため、キネシンとTPX2がどのように影響を及ぼし合って微小管の大域的なパターンを形成するかを明らかにすることが今後の重要な課題と考えられる。具体的には架橋微小管の配向バイアスに対して、キネシンがTPX2と協同的に及ぼす効果を定量する。
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