Project/Area Number |
22K15106
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有本 飛鳥 広島大学, 瀬戸内CN国際共同研究センター, 助教 (00794603)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | RNA輸送 / 核外輸送 / クビレズタ / 緑藻 |
Outline of Research at the Start |
緑色海藻クビレズタ Caulerpa lentillifera(流通名:海ぶどう)は陸上植物のような形状の巨大な単細胞生物であり,その体内には多数の細胞核が存在する。形状が異なる各部位には,それぞれ異なるRNAが局在しているが,RNAの転写が生じる細胞核は一か所にとどまっていない。本研究では各部位の細胞核内で転写中のRNAと細胞質のRNAをそれぞれ単離し,それらを次世代シークエンサーで網羅的に同定してレパートリーを比較することで,クビレズタのRNA局在に対する部位特異的な転写や核外輸送の寄与を明らかにすることを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
海ぶどうとしても知られる緑色海藻のクビレズタは、陸上植物に類似した複雑な形態を持ち、数メートルに成長することもあるが、物理的な仕切りを体内にもたない単細胞生物である。単一の巨大な単細胞の各部位を様々な形態に変形させる、もしくは各部位の形態を維持するにあたっては、必要とされる遺伝子を適切な部位に局在させることが重要と考えられる。しかしながら、クビレズタの細胞内ではRNAの転写が生じる細胞核を含む各種のオルガネラは特定の部位にとどまらず移動しているため、細胞核で転写されたRNAが細胞内の適切な部位で細胞質に輸送されるとの仮説が生じる。 本研究では、クビレズタの形状が異なる各部位から細胞核と細胞質に存在するRNAを単離し、細胞核と細胞質のRNAレパートリーを部位間や部位内で比較することで、部位特異的なRNAの転写や輸送の有無を明らかにすることを目的としている。したがって、細胞核および細胞質に含まれるRNAをそれぞれ単離することが、重要な技術的課題となる。また、クビレズタ本体のRNAと共在生物に由来するRNAを区別して解析することも要求される。 このような技術的課題に関して、細胞質に由来するRNAの単離状態を検証するために、サンプル調製時に細胞核が損傷すると細胞質に核ゲノムDNAが放出されることに着目し、クビレズタの核ゲノムDNAを高感度かつ特異的に検出するリアルタイムPCR用プライマーセットを構築した。また、クビレズタから抽出・調製した完全長cDNAの網羅的ロングリードシークエンスを実現し、クビレズタ本体に由来する遺伝子発現の高確度な検証を可能とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来の解析で用いてきたショートリードシークエンスのデータでは、クビレズタに共在する生物に由来するRNAを区別してのデータ解析が非常に困難であるとの結果を得たため、複雑なデータ処理を行なわずともクビレズタに由来するRNAの同定を可能とする完全長cDNAシークエンスの手法開発に取り組み、安定したデータ収量を達成した。また、核外輸送データをより直接的に取得するため、核膜孔を移動中のRNA-タンパク質複合体の単離に着手しつつある。この取り組みにおいては、取得した完全長cDNAデータを用いて、免疫沈降法での単離に有用な情報となる、標的タンパク質のアミノ酸配列類似性を評価し、単離用抗体が結合する可能性が高いタンパク質の候補を得た段階にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に手法を確立した完全長cDNAシークエンスによる細胞核RNAと無分画RNAのプロファイル比較を進める予定である。また、本年度に得られた完全長cDNAシークエンスに基づいた遺伝子カタログを用いて、クロスリンク免疫沈降法に適した標的タンパク質を探索し、核膜孔を移動中のRNA-タンパク質複合体の単離を試みる。ただし、配列解析の対象とした核膜孔関連タンパク質群にアミノ酸配列の生物種間での類似性が機能ドメイン単位でも低いものが想定よりも多いことが示されたことから、免疫沈降以外の手法も並行して検討する。
|