Project/Area Number |
22K15118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
椙下 紘貴 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (30881643)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | ポリコーム抑制複合体 / エピゲノム / 細胞分化 / 転写制御 / ポリコーム / ポリコーム群タンパク質 / エピジェネティクス / 神経発生 |
Outline of Research at the Start |
細胞が特定の分化運命にコミットすると、それ以外の分化運命に関わる遺伝子群は発現抑制される。この分化遺伝子群の抑制において、ポリコーム群タンパク質(以下、ポリコーム) が中心的な役割を果たすことが知られている。転写抑制に寄与する因子であるポリコーム複合体には様々な種類のバリアント(構成因子の異なるポリコーム複合体)が存在するが、構成因子の機能の違いについては必ずしも明らかになっていない。本研究計画では、 多能性幹細胞が終末分化細胞へと分化する過程で、発現変動するポリコーム構成因子が、遺 伝子抑制について異なる機能を発揮する可能性をさらに検証し、細胞運命制御のクロマチン レベルでの理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞が特定の分化運命にコミットすると、それ以外の分化運命に関わる遺伝子群は発現抑制される。この分化遺伝子群の抑制において、ポリコーム群タンパク質(以下、ポリコーム)が中心的な役割を果たすことが知られている。 これまでに胎児期における発生ステージごとの各組織における包括的なトランスクリプトームデータの解析や、PRC1のIP-MS実験により、細胞種によってポリコーム複合体を形成する構成因子の発現がダイナミックに変化していることを見出した。本研究では多能性幹細胞、組織幹細胞、終末分化細胞の複数の異なる細胞におけるポリコーム群タンパク質のダイナミクスがその細胞の細胞運命の決定に関与する可能性について検証する。 今年度はポリコーム複合体の発現がダイナミックに変動する因子のノックダウンによる細胞の系譜決定の影響を検討した。各種ポリコーム因子のノックダウンベクターを作成し、胎性期にin uteroエレクトロポレーションを行い、免疫組織染色での発生・分化への影響やトランスクリプトーム解析と少数細胞エピゲノム解析(CUT&RUN)でその変化を解析した。その結果一部の因子において神経発生やニューロン分化への影響を示した。また、特定の脳内の細胞種でのエピゲノム解析を実施するためにin uteroエレクトロポレーションによる核のラベルと核ソーティングによる細胞分取の条件検討を行った。その結果、細胞種ごとにポリコームによる修飾であるH3K27me3の集積様式が異なる可能性を発見した。 今後、多能性幹細胞や組織幹細胞、終末分化細胞間でのエピゲノム状態の特徴を探索し、それぞれの特徴とポリコームの構成の関連性について探索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリコームは非常に多くの種類の構成因子によって複合体を形成し、転写の制御を行っている。しかし構成因子の異なるバリアントがどの様に転写制御に寄与しているのか未だ不明瞭な点が多い。ポリコーム複合体の構成因子のうち多くの因子はダイナミックな変動が見られる。今年度はポリコーム複合体の発現がダイナミックに変動する因子についてまずES細胞からニューロンへの分化の系で検証を試みたが、in vitroの細胞分化系では脳で見られるエピゲノム動態との対応性が低くin vivoでの再検証が必要となった。 また、in vivoでの解析として脳発生過程でのノックダウンによる細胞の系譜決定の影響を検討した。各種ポリコーム因子のノックダウンベクターを作成し、胎性期にin uteroエレクトロポレーションを行い、免疫組織染色での発生・分化への影響やトランスクリプトーム解析と少数細胞エピゲノム解析(CUT&RUN)でその変化を解析したところ多くのいくつかの因子において神経発生過程での分化への影響や遺伝子発現の変動を生じた。脳でのより詳細な解析を実現するために特定の脳内の細胞種をin uteroエレクトロポレーションで核のラベルして核ソーティングすることでエピゲノム解析実施可能な条件を検討したため、今後ニューロン産生過程でのダイナミックなエピゲノムの変化を解析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、多能性幹細胞や組織幹細胞、終末分化細胞間でのエピゲノム状態の特徴を探索し、それぞれの特徴とポリコームの構成の関連性について探索していく。具体的にはこれまでに収集してきたエピゲノム解析の結果と細胞種、時期特異的な制御の知見を踏まえてポリコーム構成因子の発現変動との関係性を探索し、実際にその因子を欠損させた場合の影響が見られるかを検証する予定である。ポリコーム複合体の構成因子との違いおよびクロマチン凝集状態の違いが「分化能」の違いの基盤になっている可能性があり、今後これについても検討する。またin vitroでは完全なダイナミクスの再現が困難であったため、in vivoでの解析に注力し、blastocyst complementationを用いて作成したES細胞から個体復元によって解析を進めていく。 これらを通じて幹細胞における分化ポテンシャルありと分化ポテンシャルなしを分けるポリコーム複合体の抑制様式の違いに関わる重要な因子・メカニズムの理解に迫る。
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