高時間分解・絶対定量代謝解析による光合成代謝変動と酸化還元バランス維持機構の解明
Project/Area Number |
22K15142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 謙也 神戸大学, 先端バイオ工学研究センター, 特命助教 (30916747)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 光合成 / カルビン回路 / メタボロミクス / レドックス / シアノバクテリア / 代謝フラックス解析 / 高速代謝解析 / レドックス状態 / 環境応答 |
Outline of Research at the Start |
光合成電子伝達鎖を介して光依存的に還元力が供給される光合成生物において、光環境に合わせて代謝状態を調節し、細胞内のレドックスバランスを維持することは生存に必要不可欠である。しかし、光環境変化に伴う急激な代謝状態変化を定量する適切な手法は確立されておらず、レドックス調節機構の代謝レベルでの理解は進んでいない。本研究では、高時間分解かつ絶対定量可能な代謝解析手法を新たに開発し、光合成微生物であるシアノバクテリアにおける光環境依存的な代謝変動を秒単位で解析する。得られたデータをもとに制御遺伝子の変異株や阻害剤などと、開発した代謝解析手法を組み合わせて新規の代謝制御機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に明らかにしたシアノバクテリアSynechocystis sp 6803における、暗所から明所に移った際の高速代謝変化の解析から、暗所において解糖系中間体の蓄積が光合成開始に重要であることが明らかになった。今年度は暗所において解糖系中間体の蓄積が維持されているメカニズムを調べた。そのために解糖系中間体を変換するピルビン酸キナーゼの過剰発現株を作成した。ピルビン酸キナーゼ過剰発現株では、野生株に比べ暗所において顕著に解糖系中間体が減少し、光合成開始が遅れることが明らかとなった。また、野生株およびピルビン酸キナーゼ過剰発現株では暗所でいくつかの代謝物が細胞外へ放出されることが明らかとなった。 ピルビン酸キナーゼ過剰発現株に加え、解糖系中間体を変換するもう一つの酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ過剰発現株の解析も行った。光合成開始の遅延が見られるまでピルビン酸キナーゼ過剰発現株よりも暗所での時間が長くかかったが、この株でもピルビン酸キナーゼ過剰発現株と同様の光合成開始の遅延が見られた。 野生株では暗所にカルビン回路の消費経路の活性が低く、解糖系中間体の蓄積が維持されている。これにより光合成開始がスムーズに起こると考えられる。このように解糖系中間体の変換経路はカルビン回路の消費経路であり、消費経路のフラックス制御は、光強度が時々刻々と変化する環境において、カルビン回路の正常な動作に重要であることが示唆された。これらの成果をまとめた論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、遺伝子変異株を作成することで、暗所で解糖系代謝物が蓄積しているメカニズムのさらなる解析を行った。その結果、解糖系中間体の変換経路がカルビン回路の代謝物濃度維持に重要な消費経路であることを特定した。この結果をまとめた論文を投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
カルビン回路の消費経路強化株等では、暗所にいくつかの有用物質を細胞外へ排出することが明らかとなった。これを用いた有用物質生産方法を開発する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)