Project/Area Number |
22K15157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44050:Animal physiological chemistry, physiology and behavioral biology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
増田 亘作 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD) (70906221)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 概日時計 / 位相応答 / 数理モデル / 概日リズム / 時計遺伝子 / 位相応答曲線 / 非線形振動子 |
Outline of Research at the Start |
概日時計の脱同期状態での刺激に対する応答(特異点応答、SR)を用いた同期特性の推定手法により、概日時計の位相応答メカニズムの解明を目指す。まず、培養細胞でのSRにおける各時計遺伝子の発現パターンの計測により、位相応答における個々の遺伝子の役割を明らかにする。これらの結果を既存モデルと統合することで位相応答に関する数理モデルを構築する。さらに、マウス個体でのSR計測を通して、概日時計ネットワークの秩序形成メカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、概日リズムの特異点応答(SR)に基づいて、概日時計のリセット特性の定量化とモデル化を行った。まず、先行研究で計測されたマウスの一細胞レベルの位相応答曲線(PRC)の計測データをもとにSRパラメータの解析を行った。一連の濃度の刺激に対するPRCからSRパラメータを求めたところ、特定の刺激に対するリセット特性が振幅と位相の用量反応曲線のみで表されることがわかった。また、複数の刺激の混合や培養液中の同調因子に対する影響をSRパラメータで評価したところ、それらがそれぞれの単一の刺激に対するSRパラメータの単純な足し引きで予測できることが分かった。さらに、同様の条件でマウスの培養細胞を用いたSRの直接計測を行うことで、SRによるPRCの定量化とこれらのモデルの有効性が異なる細胞株でも再現されることが分かった。加えて、これらの方法を用いて、概日リズムのリセット因子に対する阻害剤の効果も定量化できることが示された。さらに、マウスの肺などの組織培養においてもSRによるPRCの定量化が可能であることが示されるとともに、SRパラメータに基づいた様々な条件での位相応答の予測モデルが有効であることが確かめられた。以上の結果から、SRにより位相応答特性を定量化することで、従来のPRC計測方法で一つのPRCを計測するのと同程度の計測回数であるにもかかわらず、濃度変化や刺激の組み合わせなど、非常に多くの条件のPRCを予測することができることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究成果により、概日リズムが様々な環境においてリズムを同調させるメカニズムに関して基礎的なモデルを構築することができた。一方で、当初の研究の目標であった、刺激による個々の遺伝子の応答が概日リズム全体の位相応答を形成するメカニズムについては、様々な刺激に対してリセットされる位相に一定の関係性は見出されたものの、具体的なモデルの構築までは至らなかった。 以上を総合して、現在までの進捗状況を(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、まず、当初の目的であった刺激による個々の遺伝子の応答が概日リズム全体の位相応答を形成するメカニズムのモデル化を目指す。特にシミュレーションを中心に、個々の遺伝子の応答と最終的なリセット位相との対応関係を明確にする。さらに、これにより得られたモデルと、ここまでに得られた複合的な刺激に対する位相応答モデルを比較し、統合された位相応答モデルの構築を目指す。 また、今回の研究で様々な条件での位相リセットを評価したが、細胞・組織レベルのいずれにおいてもリセットされづらい位相が存在することが分かった。そこで、刺激の組み合わせを用いたリセット位相の制御やリセット因子のスクリーニングなどを通して、生体内の概日リズムのリセットメカニズムの解明を目指す。
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