Project/Area Number |
22K15158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44050:Animal physiological chemistry, physiology and behavioral biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 吉政 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50872123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 体内時計 / エネルギー代謝 / 時計出力 / microRNA / 転写後制御 / E4BP4 |
Outline of Research at the Start |
24時間周期で繰り返される生理機能リズムは、生物が地球環境に適応して獲得した生体システムである。この生理機能リズムの恒常性維持のために遺伝子の転写リズムは不可欠なのだろうか。本研究では、時計振動は無傷の状態で時計出力のみを停止させ、生理機能に対する時計出力の分子作用点の解明を目指す。また近年、遺伝子の転写リズムとタンパク量リズムが必ずしも相関せず、microRNAなどによる転写後制御が重要な役割をもつことが分かってきた。本研究では、時計出力が転写リズムにより生み出されるとする「転写時計の概念」に加え、遺伝子の転写後制御に基づく「新しい時計出力機構」の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
24時間周期で繰り返される生理機能リズムは、生物が地球環境に適応して獲得した生体システムである。哺乳類においては、時計シス配列(E-box・D-box・RRE配列)と呼ばれるDNA上の制御配列を介した転写制御によって多数の遺伝子に転写リズムを与えている(時計出力)。申請者は、D-box出力の制御因子であるE4bp4を全身で欠損したマウスの解析から、E4BP4を欠損しても時計振動は正常に時を刻み続ける一方、D-boxを介した時計出力が破綻することを報告してきた。本年度はさらに、肝臓のみで欠損したマウスを組み合わせた解析を行い、時計振動と時計出力、また臓器ごとにE4BP4の役割を切り分けることにより複雑に絡み合った時計出力メカニズムの解明を目指した。これらの解析により、全身E4bp4欠損マウスにおいて観察されていた生理機能の異常の一部を、肝臓特異的E4bp4欠損マウスにおいても同様に観察することができ、E4BP4が複数の臓器で異なる生理機能を制御していることが想定された。全身または肝臓特異的E4bp4欠損マウスの臓器を用いたメタボローム解析を展開し、様々なエネルギー状態における代謝産物の測定をおこなった。その結果、ある代謝産物の合成に関わる経路が肝臓のE4BP4により制御される可能性が浮かび上がった。このようにD-boxを介した時計出力のエネルギー代謝における作用点が明らかになってきた。もう一つの柱であるmicroRNAを介した時計出力機構については、幾つかの候補因子である二本鎖RNA結合タンパクによって制御されうるmicroRNAの同定に成功しており、E4BP4の分子作用点の解明に向けた研究が順調に遂行でき、当初の計画以上に多くの成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、時計出力を時計振動から切り分けて解析することにより、体内時計の時刻情報を生理機能へと伝える分子メカニズムを詳細に解析することを目的としている。新たに作出した肝臓特異的E4bp4欠損マウスを用い、時計出力により制御される生理機能のうち、糖代謝機構におけるE4BP4の生理的役割について研究を展開した。その結果、ある代謝産物は短時間の栄養条件の変化により大きく変動する一方、全身E4bp4欠損マウスにおいては有意な変動がみられないことが分かった。今年度は肝臓特異的E4bp4欠損マウスのメタボローム解析を展開し、全身E4bp4欠損マウスでみられた特定の代謝産物量の異常が、肝臓特異的E4bp4欠損マウスにおいても生じていることを明らかにした。これまでの研究で得られた代謝産物の網羅データについて、MetaboAnalystを用いたパスウェイ解析をおこなったところ、この代謝産物の制御経路が浮かび上がっており、E4BP4が標的とするエネルギー代謝経路を絞り込むことに成功したと考えられる。 またmicroRNAを介した時計出力機構について、E4BP4が制御しうる可能性のある二本鎖RNA結合タンパクを用いたRNA免疫沈降実験をおこない候補となるmicroRNAを複数同定できている。具体的には、特定のRNA結合タンパクを細胞内に過剰発現させ、RNAと結合した状態で免疫沈降実験により、結合しているRNAをシーケンシング解析により同定した。本研究では、ゲノムから転写される段階ではE4BP4により制御を受け、転写後にプロセシングされる段階では二本鎖RNAに結合タンパクによる制御をうけるmicroRNAを探索する。そこで抗E4BP4抗体を用いたChIP-Seqデータを組み合わせて標的microRNAの探索をおこなっている。このように、当初の計画以上に多くの成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目標である、「D-boxを介した時計出力による生理機能の制御メカニズムの解明」において、E4bp4欠損マウスだけでなく、肝臓特異的E4bp4欠損マウスを用いた解析が順調に遂行できており、D-boxを介した時計出力の生理学的意義については明らかにできつつある。今後、これらの生理機能におけるE4BP4の分子的作用点を明らかにしていきたい。エネルギー負荷試験により、E4BP4の機能が明らかになりつつあるが、この際、どのようなタンパクが制御を受けて表現型につながっていくのかを転写後制御を絡めた解析により分子レベルで探索していく。このようなmicroRNAを介した時計出力機構を明らかにするため、時計出力の下流にあると想定される二本鎖RNA結合タンパクに着目した解析を遂行していく。これらの候補タンパクが結合し、microRNAの成熟化に関わると想定される標的microRNAはいくつか同定できており、これらのmicroRNAの下流の遺伝子の探索・確認を遂行していく。具体的には、同定したmicroRNAの転写レベルでのE4BP4制御をうけているか、またエネルギー状態に応じて変動するmicroRNAを探索することにより、新たにみつけた表現型の原因となる標的microRNAを探索し、機能解析をおこなう。今後も引き続き、時計振動と時計出力を切り分けた解析と並行し、時計出力に関連するmicroRNAやその下流の生理機能を分子レベルで解析していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)
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[Book] 核酸医薬2024
Author(s)
浅野吉政、小林芳明、程久美子
Total Pages
12
Publisher
NTS
ISBN
9784860438869
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