Project/Area Number |
22K15177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
篠原 忠 静岡大学, 理学部, 学術研究員 (00899734)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 交尾行動 / 交尾器形態 / 翅形態 / 形態進化 / カメノコハムシ亜科 / 捕食-被食関係 / 形態多様化 / 雄交尾器 / 系統種間比較 |
Outline of Research at the Start |
動物の交尾器進化をもたらす要因として,これまで種内の性淘汰や種間交雑の回避といった配偶に関わる要因が主に研究されてきたが,捕食圧などの要因が交尾器進化に与える影響はまだ実証例が少ない.本研究の目的は,対捕食者適応による防御形態の進化が交尾器進化に与える影響を明らかにすることである.材料として用いるカメノコハムシ亜科の成虫は体に扁平な縁や鋭い棘といった防御形態を持つ.これらの防御形態は交尾時にオス交尾器のメス腹部への接触を妨げるため,防御形態を避けて交尾できるオス交尾器形態が有利になるような自然淘汰がはたらく可能性がある.この仮説について,行動実験および系統種間比較を行うことで検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
カメノコハムシ亜科の翅末端に見られる扁平縁や棘といった突出構造の発達が交尾成功に与える影響を明らかにするために,前年度に引き続きイチモンジカメノコハムシを用いて扁平縁サイズを操作した行動実験を行った.その結果,メスの翅末端に厚紙を貼り付けて扁平縁を伸長させると,伸長させない場合に比べてオスの交尾器の挿入が失敗しやすく,交尾成功率が大きく低下した.この結果は発達した突出構造が交尾時にオス交尾器のメス腹部への接触を妨げうることを示している.また,メス翅末端の突出構造が長い種ほど,それを避けて交尾できる長いオス交尾器を持つ可能性を検証するために,本亜科の8種についてメス突出構造サイズ(長さ)およびオス交尾器サイズ(挿入器の長さと幅)の測定を行った.現時点までの成果は第71回日本生態学会大会にて発表を行った. また,行動実験に用いるイチモンジカメノコハムシ成虫を飼育する過程で得られた幼虫を用いて,今後カメノコハムシ類の形態進化を研究する上で有用となりうる思いがけない成果も得られた.翅形態や交尾器形態の進化の背景には,それらの形態の形成を可能にする発生機構が存在するはずである.形態形成に関与する遺伝子機能を解析するために用いられる方法の一つとしてRNA干渉があるが,カメノコハムシ類でこの解析手法が有効であることは確認されていなかった.そこでイチモンジカメノコハムシ幼虫に対してRNA干渉を施したところ,その有効性を確認することができた.カメノコハムシ類を用いた遺伝子機能解析手法については現在論文の執筆を進めているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イチモンジカメノコハムシを用いた行動実験は当初の予定通り進められている.2023年度までに合計80ペアを用いて実験を行い,このうち13ペアで交尾行動が観察された.メスの翅形態とオスの交尾器形態の相関を検証するための形態測定についてもおおむね順調に進んでおり,これまで8属8種について完了している.
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Strategy for Future Research Activity |
交尾行動に関するデータはまだ十分でないため,今後も引き続きイチモンジカメノコハムシを用いて行動実験を実施する.また,翅形態と交尾器形態の測定に用いる種を追加するために野外で採集を行い,メス突出構造サイズとオス交尾器サイズの測定を行う.オス交尾器については,幾何学的形態測定により形状の定量化も目指す.これらの成果に加え,カメノコハムシ類を用いた遺伝子機能解析手法について,論文としてとりまとめる予定である.
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