Project/Area Number |
22K15182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 友輔 京都大学, 化学研究所, 助教 (40823745)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 微生物生態学 / シングルセルゲノム解析 / 琵琶湖 / ウイルス / 細菌 / メタゲノム |
Outline of Research at the Start |
メタゲノム解析の普及で、環境中のウイルスのゲノムを分離培養を介さず直接得られるようになった。しかし新たな課題となっているのが「ゲノム情報だけでは、ウイルスの生態の理解に必須の『宿主』が分からない」ことである。本研究では、湖沼の細菌とそれに感染するウイルス群集を対象に、その両者を繋ぐ情報に多様な先端技術を駆使して迫る。これにより、湖沼微生物生態系において「どのウイルスがどの細菌に感染するのか?」を網羅的に解明し、その生態と進化をとりまく理解を飛躍させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度までに実施したシングルセルゲノム解析のデータ処理を主に行い、当初目標としていた琵琶湖微生物生態系におけるウイルス-宿主関係の網羅的な特定を達成した。さらに先行研究のメタゲノムデータを用いることで、各ウイルスの季節・水深間での動態を明らかにし、メタゲノム解析の解像度では見落とされていた、宿主細胞間のウイルス感染状況の異質性を明らかにした。さらに宿主の生存戦略に応じて、ウイルス感染率が異なることを明らかにし、ウイルスと宿主のペアを明らかにするのみならず、その生態学的関係性にまで踏み込む成果が得られた。これらの成果は、国内外の学会で発表したとともに、まもなく査読付き国際誌に論文として投稿する予定である。本課題では、当初の計画よりも前倒しで低予算で解析が進められたことから、今後は発展的な研究として、琵琶湖の他の季節のサンプルや、琵琶湖以外の湖のサンプルを用いて、同様の解析を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度実施したシングルセルゲノム解析のデータ処理を主に行った。その結果、最大目標としていた琵琶湖深水層で優占する細菌CL500-11に感染するウイルスのゲノムを特定することができた。特定したウイルスゲノムに対し、先行研究で得られたメタゲノムデータをマッピングすることで、当該ウイルスの細胞内外・季節間・水深間の現存量の変動を明らかにした。その結果、当該ウイルスはメタゲノムでは極めて高い現存量を示す一方で、シングルセル解析でみると、ごく一部の宿主細胞に偏って高密度で存在していることが明らかとなった。さらに琵琶湖に生息する主要な8系統の細菌に解析対象を拡大し、その感染率を評価した結果、常に高い現存量を示す優占的な細菌ではウイルス感染率が低く、現存量の変動が大きい細菌ではウイルス感染率が比較的高いことを示した。優占系統で感染率が低い理由は、集団サイズが大きなことによるゲノムの微小多様性がウイルス感染に対する免疫多様性を生み出していることが理由と推察された。これらの成果は、国内外の学会で発表したとともに、まもなく査読付き国際誌に論文として投稿する予定である。本研究ではメタゲノム解析の解像度では明らかにできなかった宿主細胞間のウイルス感染の異質性を明らかにすることができ、ウイルスと宿主のペアを明らかにするという当初の計画を超えてその生態学的関係性にまで踏み込む成果が得られるに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
成果を論文にとりまとめ、査読付き国際誌にて報告する。これまでの研究の課題として、サンプルが夏と冬の2時点のみであり、ウイルス感染動態の季節的変遷が明らかにできていない点があげられる。また、琵琶湖で得られた仮説を一般化して検証するためには、他の湖における実態を明らかにすることが不可欠である。本課題では、当初の計画よりも前倒しで低予算で解析が進められたことから、今後は発展的な研究として、琵琶湖の他の季節のサンプルや、琵琶湖以外の湖のサンプルを用いて、同様の解析を行うことを計画している。
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